いまの状態を想像できなかった数年前を思い出し、再び思うのだ。
おかあさんってなんだろう
おかあさんは、おかあさんという生き物だと思っていた、そんな気がしてならない。
わたし自身もそう思っていたのだろうし、母に対してもそう思っていたと思う。
いま、両親は想像よりも老いて、ただの男と女だったのだ、と当たり前だけど分かるようになった。
間違いもするし、傷ついたりもする。
感情に振り回されることもあるのだし、何歳になっても迷うことはある。
それが人間なのだ。
目の前で老いていくことで、それを教えてくれているのだろう。
いつか、遠いいつか。
一姫と二太郎も知る日が来るのかもしれない。
母とは、ひとりの人間だったと。
ただの間違いだらけの女だったと。