伯母の90歳のお祝い。


ここ数年、家族や親戚の行事からは遠ざかっていた私。
なんとなくこのごろは参加することが多くなった。

この叔母は父の姉。
その時代の女性にしてはかなり珍しいだろう、四年制のしかも理系の大学を出ている。
検査技師として当時の定年を少し過ぎるまで正規職員として働き続けた。
末の妹とずっと共に暮らし、合わせて6人の兄弟、姉妹の行き届かぬところをみんな補って、昨年妹を見送ってひとりになった。
都内のマンションと伊豆の別荘をひとりで行き来しながら、生活している。

このまま生涯独身を貫くであろう。
でも、色々あっても私もひとりだ。
娘とはもう私の命があるうちに会うこともないだろう。
息子もそう遠くないうちに離れて暮らすようになるのだろう。
もちろん、戸籍上の夫の顔を二度とみるつもりはない。
当然、両親は近い将来見送ることになる。

結婚しようと、しまいと、子を持とうと持つまいと、なんら変わりはない。
人はひとりで生き、だれかと出会い、別れ、だれかに頼り頼られ、やがて老いて、なにかを思いつつ、いつかひとり死ぬのだ。
それはみな同じ。
どんな風に生きても、老いても。
裕福でも、貧乏でも。
誠実でも、悪人でも。

だから、大切なのは自分で「よい」と思える日を今日も過ごせたのか、それだけ、ではないのかなあ。