うさぎを和室に放ち、玄関から続く脱ぎ捨てた服、テレビを占拠して、リビングのテーブルには食べかす。

それでも帰ってきた二太郎は何も言わずに勉強を始めました。

一姫も食べる?と一応声をかけたものの、珍しく家にいたカニ男と3人ごはんを食べ始めてもそのままテレビの前でお菓子を食べ続ける一姫。

ごはんを食べ始めて少ししてから、二太郎はイライラし始めました。
「うるさい、どっかいけ」小さい声で言い始めました。
「一姫なんか、要らない。出て行け」
二太郎が思うのは仕方ないような気はするけど、二太郎にそういう発言はしてほしくない、と小さな声で言いました。

でも、カニ男が、注意したのは二太郎。
「二太郎、そういうことを言うな!」
一姫には何も言いませんでした。

この父親の態度を息子はどう思っているのだろう、と私はぼんやり考えていました。
娘ひとりどうにもできない、泣いている母に怒声を浴びせる父親をどう見ているのだろうと。

しかし、一姫につっかかったり、カニ男に意見したりもせず、私の手を振りほどいて、自室に籠もった二太郎。
しばらくすると、自分から階下に降りてきて、勉強の続きを黙って始めました。

二太郎の機嫌をややうかがうように話しかけるカニ男にも、まるで何事もなかったかのように答えていました。

今日は、本気で考えてしまいました。
もう少しで口にしそうになってしまいました。
「二太郎、もう二人で暮らそう」
と。

息子のこの強さは、意識の高さはいったいどこからやってくるのだろう。