文化祭が終わり、代休に友人の家に泊まりに行った一姫。本当に高校の友人の家に行ったのかどうかは、もう追求しませんでした。
昨日、一度帰った形跡があり、アルバイト先のチェーン店の都内のお店にお手伝いに行くので遅くなる、と書き置きがありました。
これは先日、帰宅が遅くなるのでカニ男にもやめろ、と言われていたことでしたが
「行き先を明確にしていくこと」
という約束を守ろうとしたんだな、と解釈し、何も言わないことにしました。

そして、もう帰宅を待つのはやめようと決めました。
「何をするから少し遅く帰る」
と連絡をして行った以上、それを信じてもう寝てしまおう、と決めたのです。
毎日遅くまで待っていて、5時起きではこっちの体も持たないし。もちろん、ベッドに入って眠れるわけでもないのですが。

小さなメモに書き置きをして一姫の部屋に毎晩おきます。一言だけ、
「今日は楽しい1日だった?」
とか
「文化祭お疲れさま」
とか。
メモはぐちゃぐちゃになって朝廊下に投げ捨てられています。
でも、今日も書きます。なぜなら書きたいから。

そして、今朝、決して反省している風でもなく、悪そうでもなく、淡々と、吐き捨てるように、
「お金を盗ったのは私です。ごめんなさい。」
と言い出しました。
わたしが、うん とだけ言うと
「困ればいいと思ってやった。もうしません。」
と付け足しました。

そうか、わたしを困らせたかったんだ。

「私を困らせたくてやったんなら、もういいよ。でももう自分のためにならないことはやめようね。言ってくれてありがとう」

と言うと黙って学校に行きました。

カニ男にまで尋ねられて仕方なく告白したのか。なぜ、私に告白してきたのか。
色々考えましたが、いずれにしても自分から告白することは色んな意味で勇気が必要だったと思います。
告白してきた一姫はどんな形にせよ、少しだけ前に進めたような気がするのです。
そして、それを静かに受け入れられた私自身も。

もう少しだ。たぶん。
一姫も、私も。
がんばれ。