「りいぃぃぃさぁぁあああ!!!」
!?
突然の大声に驚き振り向くとびしょびしょに濡れた顔で、頬を膨らませ理佐さんを睨みつける葵さんの姿があった。
「だ、大丈夫ですか!?誰か…タ、タオルを…」
「葵ちゃーん、そんな格好してたら風引くぞ〜」
他人事みたいな態度に、より頬が膨らんでいく葵さん。
「理佐が振り回したペットボトル私に開けさせたからじゃん!!」
(うわぁ…)
「人聞きが悪いなあ。せっかく葵ちゃんのことを想って炭酸水を買ってきてあげたのに」
「私が頼んだのはただの水!天然水!!あとこういう時だけちゃん付けしないで!」
お二人の喧嘩が反抗期中の娘と話が通じない母親に見えたことは口が裂けても言えない。
「え〜でも、葵いつも学校で水筒に水しか入れられなくて可哀想だかr…」
「小学生じゃない!!」
もはや理佐さんの中では中高生って認識でもなかったか…。
先ほどまで明るかった楽屋にピリピリとした緊張感のある空気が流れる。
「…あははっ、ごめんごめん。ちゃんと拭いてあげるから拗ねないで」
そんな空気が理佐さんの笑い声で一瞬で吹き飛ぶ。
「はぁー??別に拗ねてなんか…」
「はいはい、もうちょっとこっち来て」
「…も~…」
理佐さんが言うと少し納得がいかないような表情をしつつも素直に近付く葵さん。
理佐さんはティッシュを数枚出して軽く顔を叩く。
「…絶対メイク落ちてるー。直すの手伝ってくれなきゃ許さないからね」
「手伝ったら許してくれるんだ笑…私はすっぴんの葵ちゃんも好きだけど」
(え…)
「…面倒くさいだけでしょ」
「えー?そんなことないってー笑」
(…)
その後葵さんのメイクもなんとか間に合い収録を終えたが、私は理佐さんが葵さんに言った”好き”の言葉がずっと引っかかっていた。
(理佐さんが仮に冗談で言ったつもりだとしても、普通に好きって言い合える仲ってことに変わりはない…)
これが欅坂46を創り上げてきた一期生さんの絆、なのかな…。
羨ましいな…。私も、理佐さんとあんな風に……。