あの頃の私たちはただただ幸せで。2人だけの時間が好きで、理佐のことが大好きで。それは理佐も同じ気持ちだったと思う。でも私たちは一歩を踏み出す勇気はなくて、ずっと友達のまま。それでも、2人でずっと一緒にいれるならいいと思っていた。
時は流れ、私たちの考えは大人になっていて。世の中的にこのままではいけないと、でも理佐のことはずっと好きだった。
そんなある日、大学で出会った男の先輩が私の事が好きだと言ってくれた。私は1人の女の子が好きだと言ったけど、理解してくれていて。それでもそばにいたいと、数年の交際を経て、結婚することになった。
「私、結婚するんだ……」
「そっ……か……おめでとう」
理佐は寂しそうに笑った
・
私が結婚しても、理佐とは電話をすることがよくあった。
『うん、うん、それでね、』
ガチャ ただいまー
『あ、ごめん…!切るね』
「おかえりなさい」
「またあの子と電話してたの?」
「うん、理佐。ごめんね、」
「まだ好きなの?もう俺たち結婚したんだよ?」
「でも、理解してくれるって……」
「理解はしてる。でも俺の気持ちも考えて欲しい。」
「ごめんなさい……」
旦那とは最近こういう喧嘩が増えた。たくさん我慢させてきた、私も普通の夫婦になろうと努力してきた。
そろそろ限界かな、
・
ある日、旦那は出張で帰らないと。最近喧嘩が多くなってきて、私は無性に理佐に会いたかった。
『なんか寂しいなー、今夜あの人帰ってこないんだ。理佐、うちに遊びにおいでよ』
いつもの電話で何気なく言ってみると、理佐は『行く』と即答しすぐ電話を切られた。
可愛い。
「ふふっ 待ってるよ」
ピンポーン
ガチャ
「由依……」
「理佐、早かったね!上がって?」
理佐とはいつものようにたわいのない話をして。
お風呂も済ませて寝る頃、理佐はそわそわしてて。どこで寝たらいい?なんて聞いてきて。
「理佐…?一緒に寝てくれないかな…」
理佐の頬がぼっと赤くなった。
気づいたら朝で、自分がしてしまったことはわかっていて。私の手は理佐にしっかりと握られていて。ずっと離さないで、と言ってしまいたかった。
それから私と理佐はただの友達ではなくなった。自分がしていることは理解している。理佐の気持ちもわかっているし、私には旦那がいる。どちらにも悪いことをしてるのは分かってて、それでも理佐とのこの関係を辞めたくなかった。辞められなかった。
『今夜もあの人帰ってこないよ』
何度打ってきたメールか。
ただ、今回は違う。
理佐から返事はなかった。
連絡先からも消えた。
私は1番大事にしてきたものを失ってしまった。どれだけ理佐が傷ついているか、わかっていながら気づかないふりしていたんだ、
「ごめんっ…ごめん理佐……大好きだった……」
end.
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