尾道市『文学のこみち』の『江見水陰』・『志賀直哉』・『林芙美子』の碑は! | もしかして山口県在住? こじらせ ( 中年 ) 女のアイタタタ…な ブログ ☆

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山口県民になって数年…
日々のエピソードや感じたコトをこじらせながら綴っていきたいと思います。

先月尾道市を訪ねた際、『文学のこみち』を歩いたRieruです

そこには多くの歌碑があり、自然石に彫られているので味わいがあり、つい足を止めて見入ってしまいました。


前方に2つの巨石がドン!



この間を通るのか〜!と、ワクワク。まさか文学のこみちでスリルが味わえるとは。


江見水陰


覚えきれぬ   島々の名や  夏がすみ




名は忠功、明治二年 岡山に生まれた。

巌谷小波、大町桂月らと交わり覗友社同人となったが、明治二十五年には自ら江水社をおこして雑誌『小桜緘』を刊行、田山花袋、太田玉茗らを育てた。

明治二十七年頃が活躍期で『文芸倶楽部』には眉山、鏡花、柳浪らと名を連らね、その深刻小説風の取材と清新な叙情味とを期待されたが、別に冒険小説にも筆をとった。


うんうん、島々の名は覚えきれぬ・・・
てか、『深刻小説』って何?
調べてみますと、人生、社会の悲惨、深刻な暗黒面の描写に主眼を置いた小説のことで、『悲惨小説』とも呼ぶようです。日本近代文学史では、日清戦争後、明治28(1895)年から3〜4年間流行したこの種の小説群を指すのだとか。
なるほど。時期も合いますね。


志賀直哉


六時になると上の千光寺で刻の鐘をつく。

ごーんとなると直ぐごーんと反響が一つ、

又一つ、又一つ、それが遠くから帰ってくる。

其頃から昼間は向島の山と山との間に一寸頭を

見せている百貫島の燈台光り出す。

それがピカリと光って又消える。

造船所の銅を溶かしたような火が水に映り出す。

(暗夜行路より)





宮崎県の人、大正元年の秋から同二年の中頃まで、千光寺山の中腹に居を構えていた。同十年から大作『暗夜行路』を発表、昭和十二年に至って完成した。その寓居は現存している。この碑は、小林和作画伯が、特に筆をとられたものである。

志賀直哉の『暗夜行路』は有名ですよね。
特筆すべきは、小林和作(わさく)画伯。調べると、山口県秋穂のご出身だそうで。あの春陽会の会員だった時期もあるようです。
いろいろありまして、尾道には約40年も住まわれており、スケッチ旅行先の三次市で亡くなられた年が偶然私が生まれた年だったという・・・(←その情報いる?)
広島県立美術館設立の際には多額の寄付を、また、広島県美展の創設や、広島の美術界の振興や発展に尽力されました。
山口県立美術館が建設される前に亡くなられましたが、奥さまが遺作388点やコレクション等54点、計442点を寄付されたそうです。

光市文化センターでも、何点か所蔵されているようですね。

他の美術館にも画伯の作品の数々が所蔵されているようです。


今日は広島に原爆が落とされて77年。
当時のエピソードとして・・・郷里の秋穂を訪れていた画伯はこの日、午前4時(!)の汽車で尾道に帰る予定でした。
しかし、急用の為に乗車が4時間後の午前8時になり、その15分後に原爆が投下されたので汽車が緊急停車して、被爆の難を逃れたそうです。
話は記念碑に戻りまして・・・この記念碑を誰に書いてもらうか?と志賀直哉に尋ねたところ、画伯の字がよかろう、という事になったらしいです。
なるほど、直々に。
ちなみに寓居が残されているとのことですが、大正時代に建てられた画伯のお宅も、『小林和作旧居』として残されているようですよ。
秋穂にある赤崎神社には・・・長くなるので、またの機会に。(←え?)



林芙美子


海が見えた。海が見える。

五年振りに見る尾道の

海はなつかしい、汽車が

尾道の海へさしかかると、

煤けた小さい町の屋根が

提灯のやうに拡がって来る。

赤い千光寺の塔が見える。

山は爽やかな若葉だ。

緑色の海、向こうにドックの

赤い船が、帆柱を空に

突きさしてゐる。

私は涙があふれてゐた。

(放浪記より)




下関の人、大正五年 尾道に移り住んで尾道第二尋常小学校(現 土堂小学校)尾道高等女学院(現 東高等学校)を卒業後、上京して、苦をしのいで精進し、昭和四年に出世作『放浪記』を出し、新進作家として大成した。
この碑の筆者 小林正雄氏は小学校当時の恩師である。

(おっ、また“小林”さん!)
もうなんかね、今年はフミコちゃんに縁があるようで・・・という流れで、“フミコちゃん”呼ばわりさせていただいています、悪しからず。

私も思い出がある海を見て、いつか波を流す日が来るかもしれない・・・そんな風に感じましたね。込み上げるものがある一説でしたよ。



・・・『放浪記』を1ページも読んでもいないのに、なに言ってんのアンタ?



アイタタタ


(早う、読め!)