眉間にシワを寄せ、何かを考えているような魔神☆に鵺は声を掛けるでもなく、ただ眺めていた
魔神☆はチェイサーのコロナを手に取り、瓶の口に挿してあるライムを瓶の中に押し込み、一気に飲み干した
鵺は冷蔵庫からコロナを出し栓を抜き、瓶の口にライムを添え、魔神☆の前に差し出した
『さっきの男、どー思う?』
魔神☆は差し出されたコロナを手に取りながら鵺に聞いた
『あの方、とてもお兄様にご執心のようね。女のワタシがジェラシーを感じるほどだわ』
鵺はガラムをくわえ、Zippoで火を点けた
その頃
カリギュラはジャニスに電話をかけていた
『やはり断られたか…』
『ええ…申し訳ありません…私の力不足でした』
『で、お前はどう感じたんだ?』
『予想通りと言いますか、やはり自ら歩み寄り仕えるような凡人ではないと…』
『フッ、凡人じゃないか…お前も面白い事を言うな』
『代表、魔神☆さんから伝言があります』
『ほぉ…』
『オレが欲しいなら自分で来いと…』
『ハッハッハッ、流石だな。bloodの代表のオレに向かってその物言いとはな。で、魔神☆は今どこにいるんだ?』
カリギュラはカシミールの場所を説明した
『わかった。今から魔神☆に会いに行く』
『では、その旨を魔神☆さんにお伝えします』
『いや…お前はそのまま消えろ』
『しかし、代表がこちらに着く前に魔神☆さんが帰ってしまうかもしれませんし』
『そうならそれまでだ。初めから縁がなかったって事だ。カリギュラ、オレを迎えにも来るなよ』
『わかりました…』
そう言い、カリギュラは納得のいかないまま携帯を閉じた
ジャニスは黒い革のコートを羽織り、blood本部を後にした
くわえたセブンスターの煙の向こうにネオンの光に照らされる人の流れを見ながら歩いていた
田舎者の集まり、東京…
誰もが夢を持ってこの街に集まって来る
そのうちの何人が夢を現実にするのだろうか?
そんなどうでもいい事を考えながらジャニスのブーツは人の流れに逆らうように裏通りへと向かっていた
人通りのない路地にカシミールのネオンサインを見つけた
ここか…
ジャニスはカシミールの扉を開けた
運命という扉があるのなら…