開かない。
なかなか
どうしたものか。
うんうん
そうだよね。
そうそう
わかってたよね。
あ～
わかるわかる。
え～
ばかじゃないの。
よく考えたらわかること。
よく考えなくてもしってたこと。
孤立した部屋は
もう開くことはありませんでした。
出来ないこと。
お話することも出来ません。
声を聞くことも出来ません。
肌を触ることも出来ません。
匂いをかぐことも出来ません。
抱きしめてあげることも出来ません。
頭を撫でてあげることも出来ません。
綺麗な景色をみせてあげることも出来ません。
おいしいご飯を食べさせてあげることも出来ません。
猫ちゃんと遊ぶことも出来ません。
ガーベラがとても綺麗だと教えることも出来ません。
寒さも暑さも一緒に実感することが出来ません。
海はとても怖いものだとおしえることも出来ません。
お家の空気がとても澄んでいることを教えることも出来ません。
あたしの顔がどんな顔なのか見せてやることも出来ません。
あたしの好きな音楽を聞かせてやることも出来ません。
あたしの大好きな人達に会わせてあげることも出来ません。
あたしの匂いがどんな匂いかおしえてあげることも出来ません。
お空がとっても青いことをおしえてあげることも出来ません。
夜の空はとても綺麗で大きなことを教えてあげることも出来ません。
ホットケーキを日曜日に食べることも出来ません。
コーヒーも匂いが安心することを教えてあげることも出来ません。
タバコの匂いが少し安心することもおしえてあげることも出来ません。
お家が狭いけどとてもいごごちがよいとおしえてあげることも出来ません。
あたしがどれだけあなたを好きだったかおしえてあげることも出来ません。
あたしが一番好きな人を見せてあげることも出来ません。
あたしの声を聞かせてあげることも出来ません。
あたしはあなたをただただ待っています。
ただただ早く会いたいと願うばかりです。
あたしの記憶が
あなたの記憶でつながっていることを願います。
あたしの体はぺしゃんこだけど
あなたの体はきっと大きく大きく。
あたしの中身はひどいことだらけだけど
あなたの中はいつでも満たされているように。
あたしの時間はとまってしまったけど
あなたの歩調でゆっくりと。
あたしはただただ
あなたをギュッと抱きしめたいです。
そしてね
そしてね
あのね
あのね
ザワザワと
耳のすぐ裏で言うんだ
そしてね
そしてね
ちょっと
静かにしてください
気にせずに
楽しそうに
耳の裏で
いっぱい言うんだ
お布団は
ぽかぽかして
気持ちいいけど
少し
おしゃべりなんだよね。
箱
大きくて
すみっこに居るのが
落ち着くし
背中を丸めて
体育座りして
少し寒いなと
思いながら
靴下は履いてこなかったし
アウターも忘れちゃったから
少し寒いなと
あんまし
大きい箱だから
もっと小さくしとけば
よかったな
と思ったけど
知らん間に
おおきくなってて
一人では大きくなりすぎだと
今更ながら悔やんでも
小さくしちゃえば
あたししか入れないから
お腹もすいちゃったけど
眠たいけど
寒いけど
いつもなら
逃げちゃうんだけど
大きい箱は
あたし一人では
どうしても
余裕がありすぎるけど
誰もいれちゃいけないし
誰か入ってきたら
ものすごく
怒っちゃうんだ。