「外国語のリスニングは、物音一つしない静かな環境で行われなければならない」
そう思っていませんか?
私は、本物のリスニング能力とは、まわりの環境に左右されるべきものではないと考えております。
確かに、外国語を聞き取ろうとする場合、母語に比べて余分な情報処理能力が要求されますから、「雑音のない、静かな所で行いたい」と思うのは至極当然ですよね。そして、外国語の学び初めの頃は、「これから一つの外国語マスターの道を歩んでいこう」という動機を落とさないーつまり、「聞き取れない!」ということの積み重ねによる「負」の経験が、諦めという気持ちにつながらないためにーということのために、静かな環境の中でリスニングを行うということも、いい方法であるかと思います。
しかし、会話の中の聞き取りというものは、常に静かな環境で行われるものではありません。むしろ、まわりに何らかの雑音がある中で、相手の声を聞き取るという状況の方が多いのではないでしょうか。マクドでの会話にしても、電車の中での会話にしても、街中での会話にしても・・・
私がイギリスに留学していた際、「英語のリスニング訓練」なる時間がありましたが、その時使用されたテープは、「街の雑踏の中で録音された英会話」でした。そして、教室の窓は全開にするように要求されました。つまり、空気の音、階下の自動車音、人々のざわめき、そして、テープの中の雑踏が全て混ざった状態でリスニングを行うのです。
雑音の中で聞き取るコツなどを教えてくれるほど、イギリスの先生は甘くはなく、ただ、「集中して聞きなさい。そして、複写テープを繰り返し聞きなさい。そうすれば、今に聞こえるようになってくるから。」との助言のみを残して、カセットテープの再生ボタンを押すのでした。
数カ月はかかったでしょうか。先生の言うことを実行していたら、確かに、聞き取れるようになってきたと言える時は確実にやってきました。
日本の大学で、英語のリスニング中に出席をとった教授を、当時は「アホな人」としか考えられなかった、その思考に、180°の転換がここで起きたというわけです。
帰国後、英検やTOEICを数々受けてきましたが、特に春は花粉症の人も受験者の中に混ざっていて、会場で「ハクション!!」と声がするわけです。人によっては、聞き取りがうまくいかないイラ立ちから、足をどんどん踏み鳴らす人も。もちろん、これが「最適な」リスニング環境であるはずはありません。受験している側としては、イライラもするわけです。しかし、イギリスで先生に教わった「集中力」をもって望み、リスニングは9割5分のマークを得ることができました。
受験生の皆さんも、是非、静かな環境+雑踏の中でのリスニング訓練をしてみてください。センター試験やその他の試験におけるリスニングが、必ずしも「静かな」「万全の」環境で行われるとは限らないわけです。その準備を考えて、色々な環境でリスニングを行うことをお勧め致します。大切なのは、「集中力」です。
「集中力」。いつだか、稲垣潤一が紅白歌合戦に出場した際に、司会者に「歌う時に、何をいちばん大切にされていますか?」と聞かれた際、ただ一言、「集中力です」と答えた彼のことを、子どもだった私は・・・よくワカラナイ・・・で終わっていましたが、このことの大切さは、身をもって経験しないと分かりませんね。
弊塾の横には、電車が走っています。窓を閉めても、リスニングには多少の支障はあります。でも、今まで述べてきたようなことまで考えて、こういう立地に塾を開業したんですね。
(高校の時、駅から徒歩で数十分かかった。生徒の間では、「疲れる」と大変不評だった。社会の先生が、「君たちの健康維持を考えて、毎日相当量の歩きを確保するために、創設者はここに高校を建てたんだ」といって、ちょっと顰蹙をかっていたが、私も実は同類かも知れない)
・・・ある程度の雑踏の中でリスニングができるように、線路の横に塾を開業したのではなく、(いや、それももちろんあるが)、良い物件がここしかなかったんですよ💦!