こんにちは、オリンピックジャンキーです。
3週間のリオ滞在を終えて、ロンドンの自宅に昨日戻ってきました。なんだかいろいろあって、あっという間の3週間。別世界に放り込まれた不思議な体験でした。たぶんリオという何とも魅力的な街と、そこに暮らすとっても人間らしいカリオカたちのおかげです。また心配されていた治安も、あれだけ軍隊と警察が動員されていれば大丈夫です。おかげで安心して街を歩けました。
今回のボランティアでは東京外国語大学の学生たちも20人ぐらい参加しました。彼らにとってもとても貴重な経験だったと思います。日本での新卒一斉採用という硬直したシステムのおかげで、若い人たちの選択肢が狭まってしまうのは非常に悲しいことだと思っています。オリンピックを当事者として経験した多感な若者が、将来のオプションを広く考えてくれるようになれば何よりです。
閉会式は宿舎の部屋でボランティアの友人たちとテレビで楽しみました。会場に行きたかったんですが、残ったチケットが高すぎて残念。それでも色彩と、ブラジルのリズムであふれた素晴らしいセレモニーだったと思います。日本コーナーに至っては、完全にブラジル、そして世界をあっと言わせた内容です。イギリスの放送局BBCや有力紙テレグラフ、大衆紙デーリーメールももろ手を挙げて称賛。東京2020への期待感をあおってました。安倍マリオの演出は完璧です。あのように普通はくそまじめな首相が、ユーモアにあふれた登場をしたのは大きな驚きです。英国人の感性をついたんでしょうね。音楽が中田ヤスタカ、振付がMIKIKOですから、2020年の本番はPerfumeの出番を期待しましょう。
確かに今回の大会はインフラや運営の面でいろいろな問題も見えました。何しろ目的地にたどり着くのが非常に大変な国なんです。分かり易い表示がないので、人に聞かないとダメです。ところが英語がほとんど通じないのは困りました。東京大会では特に日本語がわからない海外からのお客さんが問題なく移動できる環境を整えなければいけないでしょう。日本の公共交通機関は非常に発達して便利ですが、分かっている日本人だけには便利のなです。あれだけ複雑では頭が真っ白になってしまいます。運賃体系や支払いも含めてより分かり易いように改善しなければいけないでしょう。
結構問題視している日本人の英語能力ですが、私は非常にシンプルに考えてます。はっきり言って日本人の基本的英語能力・知識は、過去二回のオリンピック開催国に比べてば格段に上です。問題は話す機会が少ないので慣れていない。また間違いをするのが恥ずかしい、といった理由によるものです。日本人は自分がやらなければいけない状況になれば、必ず努力して一定の結果を出せる類まれな民族なんです。話す機会を作り、勇気を出して行動する機会をどう作ってゆくか。英語教育に携わるものとして、これから考えていきたいと思ってます。
ボランティアのモーティベ―ションを維持することはとても重要なことです。今回は残念ながらボランティアの配置に問題があり、忙しい人と暇な人とのギャップが多かったように思えます。必然的に現場のマネジャーに負荷がかかりすぎて、回り切れなかった印象があります。マネジャーたちもまだ若くて、大規模イベント運営のノウハウをそれほど持っているわけではありません。それだけに自分だけで抱え込んでしまい、パニクってしまう状況が見えました。ソチでは完全に学生の動員、という形態なので、ボランティアというより計画・統率されたプログラムでした。したがってシステマティックに人員を配置して、計画通りやる方法です。言ってみれば非常にシンプルです。基本二十歳前後の学生ですから、与えられた仕事を文句言わずにやります。後はマネジャーが厳格にマネージすればいいだけなので、ロシア社会に合っているともいえるでしょう。リオはボランティア文化がないことと若い人たちが多かった点がソチと似てます。しかし運営としてはロンドンをベンチマークとしたのでかなり無理が出たと思います。やはりロンドンで経験したように、チームリーダーとなりえる中堅層の参加が望まれます。現場でうまく調整を取りながら、マネジャーと連携してチームを引っ張ってゆく必要があったと思います。東京ではボランティアに参加しやすい環境を整えることが急務ですね。オリパラは我々のようなオヤジ・オバサンたちを必要としてるのです。(失礼、笑)
どんな大変なことがあろうとも、人生が厳しくても、底抜けの陽気さでうまく切り向けてゆくカリオカたち。日本が彼らの人間力に学ぶところは沢山あります。そしてこの素晴らしいリオの風景とサンバのリズム。人間って、人生って何だろうと考えながら過ごした3週間でした。多くの友達とも会うことができました。あっという間にフェースブックの友人も1000人を突破してしまいました。今回の投稿で私のリオ大会ボランティア総集編とします。それではリオへの想い「サウダージ」とともに。ありがとうリオ、また近いうちに会おう! Obrigado, Rio de Janeiro!