プロローグ
いつからだったかな…。
はっきりとした瞬間があった訳じゃないけど、気付いたら目で追ってた。
羽でも生えたかのような軽やかなジャンプ、無駄のないターン、不意にみせる色っぽい表情。
ふにゃっとしたかわいい笑顔、舌っ足らずな話し方、少しぽってりした唇。
挙げ始めたらキリがないほど、俺はあの人のことをずっと見てた。
別に今にはじまったことじゃない。
いつからだったか忘れてしまうほど、昔からなんだよ。
…そう、これはきっと恋。
きっとなんて言ったけど、本当はもう苦しいくらいに恋の自覚はあって。
運命だなぁ…とか勝手に思っちゃうくらいにはこじらせてる。
さっさと告白してしまえば良いのに。
そうすればこんなに身を焦がさ無くても良いのに。
俺が行動しない理由はただ一つ…。
「怖い」
それだけなんだ。
だって、せっかく今の関係性が上手くいってるんだ。俺の感情だけでそれを壊してしまうなんて…やっぱりできない。
それとも、そんな俺を優しいあなたは受け入れてくれる…?
今の関係を変えるつもりは毛頭無いけれど、そうなったらあなたはどんな反応をくれるんだろう。
…ねぇ、大野さん。好きだよ。