プロローグ


いつからだったかな

はっきりとした瞬間があった訳じゃないけど、気付いたら目で追ってた。


羽でも生えたかのような軽やかなジャンプ、無駄のないターン、不意にみせる色っぽい表情。


ふにゃっとしたかわいい笑顔、舌っ足らずな話し方、少しぽってりした唇。


挙げ始めたらキリがないほど、俺はあの人のことをずっと見てた。


別に今にはじまったことじゃない。

いつからだったか忘れてしまうほど、昔からなんだよ。


そう、これはきっと恋。


きっとなんて言ったけど、本当はもう苦しいくらいに恋の自覚はあって。


運命だなぁとか勝手に思っちゃうくらいにはこじらせてる。


さっさと告白してしまえば良いのに。


そうすればこんなに身を焦がさ無くても良いのに。

俺が行動しない理由はただ一つ


「怖い」


それだけなんだ。



だって、せっかく今の関係性が上手くいってるんだ。俺の感情だけでそれを壊してしまうなんてやっぱりできない。


それとも、そんな俺を優しいあなたは受け入れてくれる


今の関係を変えるつもりは毛頭無いけれど、そうなったらあなたはどんな反応をくれるんだろう。




ねぇ、大野さん。好きだよ。