「男ってどうして浮気するの」
というセリフを、よく耳にした。そしてその度にウンザリした。
こんなセリフを吐く前提には「浮気は男がするもの。女は一途」という古臭い社会通念がある。
最近は、冒頭のようなセリフをあまり聞かなくなった気がする。
それだけ社会が変わってきたのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
嫌味なタイトルなんでずっと避けてたんだが、
を読んだ。
悪くはなかった。
どう悪くなかったのかと言えば、
「まあわかる話だ」と感じたってことさ。
『女のいない男たち』という小説をまあわかってしまうという問題点について、
ここでつまびらかに論じるつもりなんてもちろんない。
『女のいない男たち』は同一テーマで書かれた6編からなる短編集だ。
6編それぞれの主人公はみな男で、6人中4人が、浮気をされている。残り2名についても、浮気されてるけど気づいてないだけって可能性が高い。
『心うつろいやすい女に本気になっちまった男たち』
いっそこんなタイトルだったら、店頭で本書を目にした人に一発でその中身が伝わっただろうに。
もしこのタイトルが長いというなら、
『女の浮気』
コレでもいいんじゃないかと思う。
男の浮気と、女の浮気。
そこで行われる行為そのものに変わりはないのだけれど、
その心持ちはずいぶん違うようだ。
あるベテラン女優はテレビでこう言っていた。
「男って浮気してるとき奥さんや彼女のこと忘れてるでしょ? 女はそうじゃないから」
この記事の冒頭に戻ると、男の浮気の理由って突き詰めれば、
「つい」
ってのに尽きるかとも思う。
ベテラン女優の言葉は、女の浮気はそうじゃないってことを言っているはずだ。
もう少し解体して言おうか。
女はその日、
「わたしは今日、浮気する」
って思いながら玄関を出たってことさ。
だから何だと言われれば、そこから先はアンタの胸に手を当てて考えてくれとしか言えない。
それがブンガクってもんだろうし。
何だかモヤっとした締め方もイヤだから、あたしのおNEW ブックカバーでも見せようか。
藍染め。