柔らかな黒のレースの布

いつだったか…
彼の瞳を塞いでいたあれなのだろうか…


彼と同じ…

そんな些細な事が
私の中を熱くし身体を火照らせる



顎を持たれたかと思うと
彼が後ろから強引に唇を重ねてきた

あっ……んっ……

反対の手は下着の上から
胸の膨らみを鷲掴みにされ
立ち上がっていた突起が
痛いほどにその存在を主張した

彼の手が下へと降りていく

彼に触れられる事を期待する肌は粟立ち
その指の行き先を想像する私は息を荒げた


「ふふっ
どした?」

「はぁ…ん…
たいすけ…」

「ん?」

「ううん…」

「なんだよ
言えよ」

「何でも…ないの」




腰…
背中…
二の腕……


ゆっくりと添わされる指の動き
視界を遮られることで研ぎ澄まされる感覚
身体中が彼の全てを感じようと敏感になっていた

肩にかかる彼の息…
それすらも柔らかな愛撫のように
私の肌を湿らせる
彼の唇が肩に触れ軽く吸われると
それだけで脚の力が抜け
ソファの背もたれに
身体を預けなければならなかった


「おいおい
こんぐらいで…なせけねーな」

「んっ…だっ…て…」

「そんなに俺が欲しかったか?
ははは
でも…どうせ旦那とやってんだろ?」

「して…ない」

「なに?
気使ってくれんの?
嘘つくなよ
やってたって俺は構わねーよ」

「ううん
嘘…なんて
ほんと…よ」

「ははは
旦那、抱いてくんないの?
可哀想な女
まっ仕方ねーよな
あえぐ以外能がねえもんな
旦那だって飽きるよな」


そう言った彼の手が
ショーツの中へと差し込まれた


「あ…っ!」

「だらしねーなぁ
どんだけぐちょぐちょにしちゃってんだよ」

「んん…っ…あぅっ……」




あえぐ以外…能がない


それは本当だ


彼の指に翻弄され
声をあげるしか私には出来ない

彼もいつか私に飽きるのだろう…
そう…夫のように

気がつくと求められなくなり
その事に焦りや怒りを感じ…寂しさに涙した
けれど今は
廊下で
階段で
洗面所で
体が触れるだけで鳥肌が立ち
その事を悟られまいと作り笑顔でやり過ごす
それがいまの私達夫婦だ

求められない……

その事が私達夫婦を
家族として繋ぎ止めているのかもしれない





そんなことを思った私を知ってか
彼が耳たぶのピアスを舌で転がしながら
その熱い吐息を耳へと吹き込んだ