いつもの明るい自分の傘に手を伸ばしかけ
思い直し夫の使う黒い傘を手に取る
私の花柄の傘は…
無頓着な息子ですら遠くからでも
すぐに私だと気づく個性的な模様なのだ
夫の漆黒の傘をさし足早に公園へと向かう
真新しい家が立ち並ぶ
この住宅街には不似合いな黒塗りの外車
傘で姿を隠しながら素早く乗り込んだ
「お待たせ
ねぇ?仕事は?…どうし…た…の…んっ」
問い掛けるが早いか彼の手に抱き寄せられ
唇を塞がれる
差し込まれる舌が
彼の欲望を示し
それだけで疼く身体に私の息は切れた
「痛っ」
「え?」
傘が彼の洋服を濡らし
その脇腹を圧迫していた
「ごめんなさい」
「ううん
大丈夫」
後ろへと放り投げられた傘
彼がその傘を見つめる
男物の傘……きっと気づいた
けれどその事を何か言うわけではなく
向き直ると私の瞳を覗きこんだ
美しい…
その瞳とその鼻筋…
それは冷たさを漂わせ
近づく事を躊躇させるほどなのに…
その下…肉感的な唇は
触れずには居られないほど
私を誘う
「ふふふ
いつもだね」
「ん?」
「いつも
会うと必ずそうやって俺を見つめる」
「嫌?」
「ううん
んなこと…ねぇよ」
何度も何度も重ねるくちづけ
彼の手は私のシャツの下
膨らみを揉みしだき
その先端は快感に痛いほどに固くとがり始めた
「ここで?」
「…んっ
無理?」
「…う…ん」
いくら雨の日だとはいえ
そろそろ幼稚園の送迎バスを待ちに
若いママ達が集まり始める
「今日…息子…は?」
息子は…
きっと友達と体育館で
バスケをしてから帰ってくる
だから
時間はまだ…
「大丈夫…」
座席に座り直した彼が
アクセルを踏み込んだ
