息を整える彼に軽くキスをして手を拭う

彼の足元に落ちたショーツを拾い上げ身につけ
洋服を直す彼の頬にキスをした





「ふふふ
満足?」

「ええ
もちろん
太輔くんは?」

「俺も……」




事の後の甘いくちづけ
ゆっくりと唇を離し
彼の肩に顎を乗せる



フロントガラスを叩く雨は激しさを増していた
桜の花びらがフロントガラスに散っていた



傘など役にたたないほどの雨




息子を迎えに行かなければ…




まだ互いの体液の香りが漂い
彼の身体に身を任せているというのに
そんなことを思う自分に我ながら呆れる





「近くまで送るから」

「ええ」






まだ残る彼の名残をからだに感じながら
気持ちはどんどんと現実へと戻っていく




彼と一緒に居たいという思い
けれど
それは叶わない思いだと知っている







彼が私の手を握る




「今度はちゃんと部屋
用意するから

「…うん」








いつまで…
彼は私を求めてくれるだろう



川沿いの桜
フロントガラスに散った花びらは
ワイパーで片付けられる





窓のそとの桜並木…
雨と風に揺られるその姿は儚い

儚く散るからこそ
美しいのだ…




いつか終わると知っているから
彼への想いが
こんなにも私の身を焦がすのだろう





あと少し…
彼と…





私の手を握る彼の手に
もう一方の手を重ねた




「ねぇ
桜の見える部屋がいいな」

「ん?」

「今度会うの…」

「了解
探しとくよ
でも…
それまで桜…咲いてるかな」

「……」

「葉桜も…いいもんだよな」

「…ええ」






でも…
でもね……
桜散るまでに


君に…
もっと
逢いたい…













END