「んで、なんでリクはそんなにふてくされてるんだよ?」
大和が優しく尋ねた。
今、アイドリッシュセブンの寮のリビングでは、バチバチとした空気が漂っている。否、ふんっとわかりやすく拗ねて顔を背ける七瀬陸とチラチラと陸を気にしながらもツンとした態度を見せる和泉一織に、周りの年長組は少しほのぼのしていた。
「だって、一織が、意地悪なこと言うから!」
「へえ、なんて?」
「『七瀬さんはどうせ九条さんと私が死にそうな状況で一人しか助けられないとしたら九条さん選ぶんでしょ?』って!」
「なんでその言葉に腹を立てたんだ?」
「だって、そんなの選べるわけないだろ!二人とも大好きだもん!」
ぷくーっと陸が頬を膨らませる。
同時に一織が照れたように俯いた。
「んで、イチはなんでそんなこと言ったんだ?」
「……言わなきゃダメですか?」
「うん。言わなきゃダメ。」
「……七瀬さんが、九条さんの話ばかりしてきたから……その、」
「あー嫉妬したんだ?」
ムッとしたように一織が大和を睨む。
そんな一織の年相応の反応に満足したように大和が一織の頭を撫でた。
「やめてくださいっ、大体、違いますからね!ライバルグループの話ばかりするからメンバーの事疎かに思ってるんじゃないかと」
「まぁその気持ちもあるとして、嫉妬もしたんだろ?」
「……」
「イチ?」
「……しました」
「よくできました」
頭を撫でてた手を退かされて大和が苦笑する。一織は本当に素直ではない。
一方でその話を聞いてた陸の顔がぱぁあ、と綻んでいった。
「じゃあ、一織は俺のことちょっとは大事だって思ってんの?」
「思ってるもなにも凄く大事ですけど」
「嫌いだからあんな質問したわけじゃないの?」
「そんなことしませんよ!」
「そっか……えへへ」
ふにゃぁと力が抜けたように陸が笑った。
子供のようなほわほわとした雰囲気を放つ陸に今度は一織が微笑む。
「……嫌いじゃないですよ。七瀬さんは大切な相方と、思ってますから。」
本当にこのコンビは喧嘩はするけど仲直りが早い。
大和はあとは二人に任せよう、とその場を離れた。