コンタクトレンズへの憧れ
私は視力が良い。
これはきっと母譲りで。
さらにきっと50代に入って急下降するであろう視力。
眼鏡、コンタクトレンズ…未知なる世界。
家族にメガネ部員が居なかったものだから、思い入れは相当に強く。
クラスに数名居たメガネっ子に対し、ひそかな憧れがあった。
今でも黒ぶち眼鏡をかけた男の人に多少弱い気がする。多少ね。
これは小学2年生の頃の話。
クラスにカサイさんという女子が居た。
性格はキツ目の学級委員。
当然勉強もできた。
なぜ仲良くもなかった彼女の家に遊びに行ったのかも分からない。
家もすごく遠かったのにも関わらず。
さておき彼女の家で、当時流行っていた『水糊を乾かす』という工作?をした。
水糊を下敷きなど平らなプラスチックに垂らし、色をつけて乾かす。
中にはビーズやスパンコールを入れても良い。
出来あがったものを、自分の名札入れに入れて可愛くデコる。
…という女子オンリーの流行があった。
めちゃくちゃでかいやつを作って、それが素晴らしく頑丈で美しい仕上がりになったので
皆の羨望を受けた思い出。
もしかしたら、私の腕を見込まれてカサイさん宅へ招かれたのかもしれない。
普通の大きさのものは、ソフトのコンタクトレンズにそっくりな仕上がりになる。
カサイさん宅で黙々と3、4人で作っていたであろうか。
手を洗いに洗面所へ行くと、見慣れないものが置いてあった。
細長い筒の中に液体が入っていて、
その中に沈んでいたのはまさにコンタクトレンズそのものであった。
恐らくハードコンタクト。
驚いてカサイさんを呼びつけた。
『ああ、それ?コンタクトレンズ。お母さんの。』
他の子供たちも
『うちのお母さんも使ってるわ。』
とか言っていた。
どうしても付けてみたくなった。
皆が部屋に戻っても尚、その場に居続けた。
ふと名札の中に入っていた水糊の乾いたもの。
『そっくりや・・・。』
ふとつぶやいた。
蒼い色に着色したそれはカラーコンタクトに酷似していた。
迷わず、目の中に入れてみた。
蒼い目をしたフランス生まれのお人形になれることを夢見て。
でも、この時点で結果は分かっていた。
水糊が水に触れたらどうなるか位。
それでも試してみたかった。
好奇心には勝てなかった。
瞬間。
痛い!
水海苔が涙に溶けた。
一人で大騒ぎをし、その家の住人たちにも心配をかけ、(おじいさんおばあさんごめんなさい。)
頭のいいカサイさんにはきっと呆れられたに違いない。
帰宅してからも、夢捨てきれず、もう一度チャレンジした事実。
同じ結果に終わったことは誰にも言わずにここまで生きてきた。
コンタクトレンズ、今となってはわずらわしいイメージでしか無い。
だから、この視力をキープし続けようと思う。
メガネも同様、私にとってはわずらわしい。
メガネもコンタクトも観賞用でしかないのだ。
ドライアイの私にとって。
