3月11日、
私は江ノ島水族館にいた。
一通り楽しんだ最後に、出口付近にあるお土産売場に向かった。
何の気無しにストラップが見たくて、先にストラップを見てた二人組のお姉さん達の後ろに立った。
その時、お姉さんが言った。
『ストラップ揺れてない?』
地震だった。
振り幅の大きい、でも比較的ゆっくりとした揺れに、
人は皆呆然としてた。
私はなんとなく外に出た。良い判断だったと思う。
次の瞬間、
揺れが大きくなり、一斉に人が出口に押し寄せた。
ベビーカーを必死の形相で持ち上げる母親が印象的だった。
信号機が揺れていた。
長い間揺れていた。
でも外はとても安全だった。
水族館のスタッフがウェットスーツのまま、人々を誘導し、また駐車場にいた人々は車を置いて外に出てきていた。
怖い、というより胸騒ぎがした。
情報が欲しくて家に帰ることを選んだ。
海岸を見ると、海が、海の水が、ひいている様に見えた。
連れに聞いた。
『海の水、ひいてない?』
『ひいてたらヤバイよ』
『でも、ひいてるよね』
早歩きで帰る事にした。
帰路中、ぼんやり考えてた。
館内の人々は平気だったのだろうか。密閉した館内でパニックにならなかったのだろうか。
水槽の水が揺れにより溢れたりしなかったのだろうか。
頭の良いイルカたちはどんな気持ちだったのだろうか。
イルカのショーを見ていた時にいた園児達、障害者の方々のボランティア集団、皆、無事だったのだろうか。
情報のない私は、震源地がまさか遥か遠くの地だとも知らず、
この地で起こったいつもより少し大きな地震、くらいに思っていたので
まだまだ、まだまだ呑気な心配をしていた。
震度7、宮城。
ニュースを見てびっくりしたけれど、その驚異の本質を私は理解はしていなかった。
しかし、津波に飲み込まれる町、家、車。
驚異の瞬間を目に、今実際に同じ時間の中で発生している事には到底思えなかった。
別の世界の出来事に見えた。
でもこれは、確実に、日本で起きている事だった。
どうか、沢山の人々が無事であってほしい。
また皆で笑い合えたら--。