ある日、凛たちは、とあるスタジオに足を踏み入れた。
そこは――デビューしたばかりの頃、何度も通った場所。
言わば、彼女たちの“はじまりの場所”だった。
懐かしい照明の匂い、床に染み込んだワックスの光沢。
壁に掛かった古いポスターには、まだ初々しい笑顔の自分たちが映っている。
「…変わってないね」
誰かがつぶやく。
それは、うれしいようで、少し切ない瞬間だった。
あれから、もう二年。
そう思うと、胸の奥でじんわりと時間の重みを感じた。
まだ二曲しか出していないのに、今では毎回のようにテレビに呼ばれる。
音楽番組では、ほとんど“準レギュラー”のような立ち位置だ。
たった二年。
けれど、この二年を続けてこられて、本当によかった――そう、心から思えた。