私は、密かに翔太が気になっていました。
優しくて、整った顔立ち。
ブスの癖に、面食いだったんですね![]()
そんなことは一言も言いませんでしたし、そんな感情に気づいたのは、最終的に楓との関係が口も聞けないほどまで壊れてしまってからでした。
私は翔太が好きだった。
でも、翔太は楓が好きだった。
私は、涼に好きだといわれて、嬉しかった。
でもそれは、 『異性に認められる存在』 になれた事が嬉しかっただけ。
ううん、『異性に認められる存在』 以前に 『皆と同等』 になれたことが、嬉しくて仕方が無かった。
今まで、散々学校では人間以下の扱いを受けてきたから、持て囃されるのが凄く嬉しかったのでした。
結局、好きでもない涼との付き合いは、3ヶ月で終わります。
そして私は心に更に大きな傷を残します。
涼とは、数回デートしただけで終わりました。
二人になったときに、私は涼にどう接して良いか解らなかったんです。
今まで、話しかければ嫌な顔をされ、罵倒されてきたのが染み付いているので、何を言ってもダメな気がしてしまいました。
何か言うと、一気に涼に嫌われて、また誰からも相手にされなくなるんじゃないかと思いました。
涼は優しくて、こんな私のことを凄く大事にしてくれました。
でも、涼は優しさからか、私を傷つけました。
涼たちのグループのリーダー的存在のMという男の子が居ました。
暴走族にも通じているような、そんな奴でした。
ある日、涼は
「Mと喧嘩した。」
と、私のポケベルに入れてきました。
当時はまだポケベルの時代でしたからね![]()
私も、楓と遊ぶようになって持ち始めたのでした。
私は、「なんで?」と、返信しました。
すると、涼からこんな答えが返ってきたんです。
「Mが、りんねのことバカにするから・・・」
涼的には、優しさだったのかもしれませんが、その言葉で、私の中の何かが崩れました。
その何かは、多分少しずつ積み上げた不安定な 『自信』 。
怖くなって、悲しくって、誰も信じられなくなって、どうして良いか解らず、ポケベルの電源を切りました。
所詮私は、ブスだ。
気持ち悪くて、目障りなだけのハズレくじ。
なんとなく感じてはいましたが、やっぱり声を掛けて来た男の子達は、楓が目当て。
私はオマケだったんです。
悔しくて、朝までずっと、泣きました。
どうやったら抜け出せるの??
一生抜け出せないのかも。
だったら、生きてる意味なんて無いかもしれない。
努力しても、辛いのを我慢しても、結局私は私。
みんなの中では、 『所詮りんね』 。
誰も認めてなんてくれない。
じゃあ楓は?
私を引き立て役にしてるだけで、私のことなんか友達だとも思って無いかもしれない。
楓も、私のことを、Mや翔太と一緒に馬鹿にして笑ってるのかもしれない。
とんだ被害妄想ですが、まぁ半分くらいは当たってたんじゃないかな・・・。
そういう心の歪みが影響して、私は楓に何かと当たるようになりました。
翌朝、電源を入れると、ポケベルには涼からのメッセージが沢山入ってしました。
私はこう返信しました。
「さよなら。」
涼は、学校まで会いに来てくれましたが、私は怖くて逃げてしまって、結局話もせずに二度と会うことはありませんでした。
大分落ち着いてから、もう一度やり直そうと話しましたが、結局上手くはいかず、また3ヶ月で終わってしまいました。
劣等感は、今でも抜けません。
どんなに自信が持てるようになっても、その自信は相変わらず砂の造形。
少しでも風が吹けば、パラパラと崩れてしまいます。
自分なんて、何をやっても・・・・・
という棘が心の奥に引っかかって、抜けません。
早く棘が腐って無くなると良いなぁ。