【結果】CMLL4・10アレナ・メヒコ | 女子プロレス専門誌『RINGSTARS』

【結果】CMLL4・10アレナ・メヒコ

『金曜定期戦』
◆4月10日(金)アレナ・メヒコ


▼CMLL世界女子選手権試合・時間無制限3本勝負
 マルセラ(2-1)朱里
 [1]朱里(片エビ固め)マルセラ
 [2]マルセラ(変形吊り天井固め)朱里
 [3]マルセラ(片エビ固め)朱里
※マルセラが第17代王者となる。


 CMLL世界王座戦の数日前、朱里の周辺はあわただしくなっていた。この一戦の戦前情報を報じる新聞、雑誌、テレビのメディア取材は増える一方で、メキシコ国民が注目する大一番と化していた。アレナ・メヒコは3階席にも観客がむらがるほどの超満員。異様な期待と興奮が場内を包む中、決戦が訪れた。まずは挑戦者のマルセラが登場すると大歓声。やはり、メキシコのファンはマルセラが王座を母国へ取り返すのを願っている。そして朱里は完成とブーイングに包まれながら、アレナ・メヒコの階段から笑顔を振りまいて登場。腰にはCMLL世界王座のベルトが巻かれている。リングインすると、空手の型を決める朱里。館内は大歓声とブーイングの音量がさらに増している。朱里のセコンドはカマイタチ。マルセラに声援が集中する会場に対して「もっと朱里に声援を!」のジェスチャーを見せる。世界王座戦恒例の記念撮影では、マルセラ側のパートナーにはREINA入団が決まっているスカディが就いた。ホイッスルが鳴る前から場内は大メヒココール。朱里が今回のサーキットで連戦連勝を築いてきたことはよくファンに認知されている。最大の強敵に対する、最後の砦という期待がマルセラを後押しする。


 1本目、まずはグラウンドの展開からスタート。朱里が足を取るだけで大メヒココールに包まれる。マルセラがアームホイップからのドロップキックで先制するが、ダブルアームの体勢をかわすと朱里が背中へのサッカーボールキック。大きくどよめくアレナ・メヒコの観客。そして朱里はブーイングに対してもふてぶてしい表情で応える。さらにコーナー二段目からのティヘラで華麗に舞った朱里は、飛びつき式のアームドラッグでマルセラを場外へ。ファンは大メヒココールで何度もマルセラを後押しする。マルセラはリングへ戻るとバックブリーカーからフットスタンプを狙うがこれは朱里が阻止。そしてミドルキックを入れてからの飛びつき腕十字が決まり、マルセラはたまらずギブアップ。朱里が先取して観客の声援が悲鳴に変わる。インターバルの際もマルセラコールは鳴り止まない。世界戦の雰囲気は独特の緊張感に包まれていた。

 2本目、朱里はドロップキックからミドルキックへ 。しかしマルセラはラリアットから低空のキックを連発する。初めての攻勢に割れんばかりのどよめきに包まれる。朱里は攻守を入れ替えるとコーナーへのニーからハーフハッチへ。カウント2で返されるとすぐさま腕ひしぎへ。ロープにマルセラが逃れると。大メヒココールが何度でも沸き起こる。マルセラがバックを取ると、そこからダブルアームの体勢へ。そして持ち上げてからの背骨折り。朱里はカウント2でキックアウト。しかしマルセラは足をインディアンデスロック式に固めると、そのまま朱里の両腕を取ったマルセラがギブアップを奪った。場内はまたも大歓声。

 3本目、マルセラがドロップキックを3連発、しかし朱里もマルセラを誘い込むとぶら下り式の腕ひしぎへ。またしても悲鳴に包まれるアレナ・メヒコ。マルセラはマヒストラルを決めるがカウント2で朱里が返す。続いてケンタッキーボムの体勢からストマックブロックへ移行する技を見せるマルセラに、朱里が苦悶の表情を見せる。倒れこむ朱里にマルセラは低空ドロップキック。「オートラ」の掛け声に乗り、2発目の低空ドロップキックを狙っyたマルセラだがこれは朱里が阻止。すかさずローキックを連打。蹴りが出るたびにメキシコのファンの悲鳴が起こる。場外へ落ちたマルセラに対して朱里はプランチャ。昨年のアマポーラとの一戦以来の場外ダイブを敢行した。リングへ戻ったマルセラへ朱里は投げっぱなしのジャーマン。すぐマルセラはラリアットでやり返す。両者ダウンとなるリング上。両膝を突いたままでのナックル合戦からマルセラはコーナーへ朱里をホイップするが、すぐさま向きを返してダイビングニーを決める。カバーに行く朱里にカウント2で返すマルセラ。館内はまたもや大歓声に包まれる。朱里はすぐさまロープへ飛ばすとマルセラが振り返りざまをドロップキック。そしてセカンドロープからのフットスタンプが朱里のストマックを痛打。場外へ転落転落した朱里をめがけてマルセラがプランチャ。朱里ともどもセコンドのカマイタチまで巻き添えを食う。悶絶するカマイタチに場内の大スクリーンが大アップでとらえるとドッと沸く場内。マルセラはコーナー最上段からのボディアタックを狙うが朱里はこれを
防ぐ。すぐさまローを狙うがこれをマルセラはスクールボーイへ。続いてフェースバスター。そして必殺のフットスタンプを決めるが、カウント2で返す朱里。マルセラは吊り天井からフォールの体勢に入るが、これも朱里は2で返す。先に立ち上がった朱里はハイキックからバズソーキックで勝負に出るがカウント2。すかさずジャーマンを決めるがマルセラはこれも2で返す。マルセラはラリアットからミサイルキック。さらに切り札の雪崩式みちのくドライバーへ。場内は勝利を確信したかのような大声援。マットへ急降下した朱里に返す余力はなく、カウント3を聞いた。

 マルセラはコーナーに上り、ベルトを掲げてアピール。そして両者が抱き合うと、リングアナが「ムイビエン、ハポネサ、シュリー!」とコールする。すると朱里の曲が流れ始めた。セコンドのスカディ、カマイタチも拍手、気がつけばメキシコのファンも朱里へ拍手を送っている。リング上にはあらゆる方向からおひねりが飛び交う。次々と投げこまれ、感動的なエンディング。CMLL世界女子の歴 史の中で燦然と輝く名勝負が誕生した。朱里は「本当にアレナ・メヒコの舞台で、タイトルマッチができたということ、相手がCMLLトップのマルセラで、本当にいい経験ができました。日本の人になかなか伝わらないことかもしれないですが、今日のことは誇りに思います。お客さんもたくさん入ってて、この空間で試合ができたことは幸せだなと思います。今日CMLLのベルトは落としてしまったけど、それ以上に得たものが大きいです。最後におひねりも投げられて、自分へのコールとテーマ曲も流していただいて、歓声も起きて幸せでした。あと、いろんな方にいい試合といってもらえてありがたかったです。忘れられないうちにまたメキシコに来て、もっともっといい試合をして 朱里を世界中にアピールして行きたいです」と今後のメキシコへの希望を口にした。
 マルセラも数多くの報道陣に囲まれ「朱里は自分が闘ってきた中でも本当に強くて、いい選手。こういう選手とめぐり会えてよかった。今日、闘えて誇りに思う」と朱里を絶賛。また、CMLL関係者からも同大会のベストバウトだという声が上がったほど、周囲の評価を得た。約2週間にわたる朱里のCMLL遠征は実りの大きいものに終わった。朱里は12日に帰国し、再び日本のリングへ上がる。


(C)CMLL/Alexis Salazar