観てきたよ、少年王國記。
「死」というものの重さの違いが、人によって違うのは当たり前かもしれないが、それを子供達の純粋な感性でまざまざと見せつけられると、ハッと心臓を掴まれたような気持ちになる。
鹿を殺した。というところまでは、平然に感じていた。当然、と思ってしまっていた。この価値観はこの地球上の歴史と文明から作られたものだと思う。
でも人が殺された瞬間、津波が襲ってきたように衝撃的だった。目の前で人が1人殺されたという事実を受け入れるのに、少し時間がかかった。
死。というものが意味するものとは何か、重さは何か、そもそも、この重さの違いはなんなのか。考えさせられた。
もちろん、死だけがこの作品のテーマでは無い。
人間と人間の絆や分裂、確執、言葉の力、社会、本能、愛や友情……
私たちの生活と切っても切り離せない存在が竜巻のように蠢いていた。
終始感じていたのは、独裁。
ヒロシがその独裁ぶりを徐々に表に出してきて、
最後の方には背筋が凍るほど恐ろしい存在になっていた。
山田さんは孤独のオーラを表現するのが秀逸ということを改めて感じさせられた。
のりおはほとんどの時間を木の上で過ごし、みんなを見下ろしていて、傍観者的立ち位置だったと思うし、私たち観客と近い立場にあったんだと思う。
山田さんの存在感と、印象的な声が、のりおの一人語りをさらに際立たせていた。
島に怪物がいる。とのりお以外の子供達は信じていたが、実は怪物なんかではなく、焼け死んだ子どもの死体だった。
のりおは大事そうにそれを抱えていて、彼の背負う孤独の重さを感じた。
その死体に少年たちは心を乱し、争っている。正体を知らないまま。幻想を抱き、恐れ、想像だけでものをいい、他人を傷つける。
恐怖の根源は、意外と無機質で、そこから生まれる怒りは、人間が勝手に生み出したものなのか。
大人に訴えかけるメッセージを感じる。
大人のいない、少年たちの王國で、彼らの思いや願いが駆け巡る。
アキラの願いの強さに胸が締め付けられた。
みんな、希望を抱いていたのだろうか。
アキラは、現実に絶望しながらも、小さな小さな希望を信じていたような。
ヘリコプターの音がして、島にプロペラの影が落ちた時、少年たちの見上げる顔が印象に残った。
あの時、どんな気持ちだったろう。
罪を犯したケイは、どう思ったろう。
ケイは残虐性があったけど、本音はどうだろうか。帰りたいって思ったのかな。
木の上でのりおが手を振っているのが見えて、
彼の意思が見えた。
あまり感情を表に出さなかったけれど、生きたいんだ、この子。
ヘリコプターの音と影は見えた。
しかし、そこから先は描かれていない。
運良くそれが救助ヘリで、そうでなくとも操縦士が少年たちに気づき、助けたのか。
それとも通り過ぎていったのか。
エンディングがはっきりされていなかった。その後のストーリーを想像する余白があって面白い。
なぜ人は人を傷つけるのか、殺すのか。戦争するのか。
生きたい理由。
あっという間に時間は過ぎて、終演した。
いい作品を観た。