「その本良いですよ。」
一人で図書館に来ていた私は横から突然話しかけられ、最初は自分に向けられた言葉だとは気付かなかった
声の主は50代くらいのおしゃれな紳士だった
「短くてすぐに読めるからここにあるシリーズ4冊借りた方が良いですよ」
「えっあっそうなんですか
4冊借りてみます」
紳士はニコリと微笑み、違う本棚の方へ向かって行った
オススメの本かぁ。読むの楽しみ
紳士の親切な気持ちに和みながら図書館を後にした
お金のいらない国
改めて考えてみると私はお金に支配されている。お金が無くては生きていけない。限られた収入の中で、欲しいものを選び生活している。同じような商品ならより安い物はないかと探し回る。収入が減った時にはどうしようもない不安で眠れない夜を過ごしたこともある。お金がもっとあったらなぁと幾度となく思った。
お金がいらない世界だったらこんな不安やお金の為に無駄な労力をかけることもなくなるのだろうか…
この本はどんな世界を描くのだろう
私は新しい世界を垣間見る気持ちでページをめくっていった
「ーーーーっっ良い本だった‼︎‼︎‼︎」
読み終えた第一声がこれだった。
両手を広げながら言っていたようで、
「なんで飛んでるようなポーズをとってるの笑」と家族に笑われてしまった
この本は、働くことの意味を考えさせられる内容だった。
私自身は、大学を卒業し特にやりたい事が見つからず、ただ給料と福利厚生が良いという理由だけで金融機関に就職。
でも私には合っていなかったようで、業務内容に興味が持てない上に、自分でも嫌気がさす程仕事ができなかった。
これが好きなことを仕事にする道を選んでいたら違った結果だったのかなぁと今更になって思う。
働くってお金を追い求めることではないのだと気づかせてくれた1冊。
次の就職先は毎日通うのが楽しみな場所で働きたいな…と、窓の外に広がる青空を見ながらぼんやり思った日曜の昼下がりだった。