『明日の雨は。』 伊岡瞬 | 鈴と空のブログ

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読んだ本の紹介を簡単に。
あとは気になる人やニュースなんかについて思ったことを書こうかなと。
たまに真面目なことをかいたりもするかも。

明日の雨は。/伊岡 瞬
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「明日の雨は、明日にならなければ降らない」
―親父の遺した言葉の意味は、今の俺には分からない。
森島巧は公立小学校で音楽の臨時教師として働き始めた23歳だ。
音楽家の親の影響で音大を卒業するも、

流されるように教員の道に進んでしまう。
腰掛け気分で働いていた森島だが、

学校で起こる予想外のトラブルに巻き込まれていき…。
「M」と教員の間で呼ばれる宮永敏美は連日学校にクレームを付けてくる。
今年は新人教師・安西久野がターゲットにされたようだ。
ある日、宮永と親しい大柴家でぼや騒ぎが起こる。
翌日、宮永が学校に怒鳴り込んできて、

ぼや騒ぎの犯人は安西だと断定するのだが…。
曇りがちな心を晴れやかにする珠玉の青春ミステリー。
――――― 「BOOK」データベースより


個人的評価 : ★★★★☆


かつての恋人に合わせてなんとなく取った教員免許、
バーのピアノ弾きよりは聞こえがいいからと引き受けた臨時教師、
そんないきさつからか「腰掛け気分」だとは言うものの、
実際に先生を始めてからの森島は素敵だ。


良かれと思ったことが生徒たちの反感を買ったり、
熱心さや発想の自由さをベテランや先輩教師から疎まれたり、
自分の将来に悩んだりしながらも、
それでも一生懸命で真っ直ぐで。


子どもたちが基本的にみんな素直ではある。
家族の中に深刻な問題を抱えていたり、
友達やクラスメイトとの付き合いの中に複雑な感情があったり、
色々とありながらも、根っこが素直というか、
心の深層までその色んな問題が侵食はしていないというか。


実際の現場でこう上手くはいかないんだろうと思う。
子どもたちにしても、同僚教師にしても、保護者にしても。
そう簡単に熱意なり想いなりが伝わることも、
そう簡単に引っ込むことも黙ることも、現実的ではないのかもな、と。


なので実際の先生や子どものいる人が読んだらまた違うのかもしれない。
羨ましく思うのか、ギャップにイラつくのか。

教師でもなく、母親でもない私は、好きだった。