- J/五條 瑛
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ジェイ―誘惑者、テロリスト。
彼女と出会ったとき、少年の野性は目覚めた。
サスペンスと青春小説の美しき融合。
――――― 「BOOK」データベースより
個人的評価 : ★★★★☆
「テロの代行」というのはどうにも気持ち悪い……。
「テロ」って何なんだろう、と思う。
もちろん、行為自体を認めるわけじゃないし、擁護するつもりもないけど
どうしても貫きたい、護りたい、伝えたい主義主張があって
その為にすべてを失くすのも止む無しといった覚悟があって
ようやく為されるのがテロというものだと思っていたんだけど。
赤の他人を巻き込んでまで、その他人の命や安全を犠牲にしてまで
しなければならない主張をお金で他人に任せて自分たちは高みの見物、
というのはなんだか気持ち悪い。
秋生が通うジムの面々は皆好きになる。
(きっかけは「ジェイ」と出会ったことなのかもしれないけど)
久野に出会ってから目に見えて変わっていく秋生、
才能に恵まれ、それでも驕らず努力する久野、
そんな久野の陰になりながらも、腐らず誠実で有り続ける山木など。
好きになったからこそ、
それぞれの迎える結末や展開に思わず泣いてしまいそうにもなったり。
引き換えに、時津の身勝手さと浅慮にはイライラ。
自分の行動が招いた結果だということをまるで無視して、
おまけに最後まで見苦しくて。
ああいう場面になれば誰しもあれくらいの事は言うだろうと思いつつ、
それまでの心証が悪すぎるから、「見苦しい」としか思えない。
スカイ(特にライカ)に苦しくなり。
「島」に来る以前のこと、
そこを出て「スカイ」として活動するうちに生まれた仲間内の歪、
信頼していた人物の裏切りとその挙句のあの最後。
面白かったんだけど、そんな風に色々と感情が動くので、
読み終わった後に少々疲れてしまったかもしれない。