『二重誘拐』 井上一馬 | 鈴と空のブログ

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読んだ本の紹介を簡単に。
あとは気になる人やニュースなんかについて思ったことを書こうかなと。
たまに真面目なことをかいたりもするかも。

二重誘拐/井上 一馬
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黒澤明「天国と地獄」以来の誘拐ミステリの衝撃作!
突然失踪した若い女性たち。
しかし、なぜか彼女たちは2、3年後には戻ってくるのだ。
そして、帰還した失踪者はみな口をとざす。
謎の誘拐犯はいかにして今なお彼女たちを支配しているのか?
名訳者が初めて挑戦する書き下ろし長篇ミステリ。
「純愛」は悪魔の正体をあばくことができるだろうか?

須貝菜月(21歳)1994年8月、静岡で誘拐。96年9月帰還。
渡辺真央(21歳)1995年3月、東京で誘拐。97年9月帰還。
弘田千恵(18歳)1995年11月、長野で誘拐。98年1月帰還。

ほかにも、1996年から98年にかけて、
三重、富山、広島、秋田で若い女性が誘拐され、
2、3年後に帰還している。
すべて同一犯による誘拐監禁と思われる。
――――― 帯より


個人的評価 : ★★★☆☆


「二重誘拐」ってそういうことなのか……。
それが明かされる場面ではあまりのことにゾッとした。
なんて卑劣で非道なやり口。


長年ずっと事件を追ってきたあの刑事が迎えた(決断した)あの最後。
法的にはとてもじゃないけれど赦されないことだろうし、
刑事という職業であることを考えるとなおさら
あれを「正義」だと言ってはいけないんだろうな、とも思う。


だけど、頭ではそう分かっていても、あの方法しかないんじゃないか、
あれが最善ではないかと思ってしまうくらいの事件だ。


それだけのことをした犯人側の描写がほとんどないのは

少々物足りないような。

でもあんなことをする理屈をごちゃごちゃと並べられたら
それはきっととんでもなく憂鬱だろうから、
あれくらいで抑えたのはわざとなんだろうか。


「純愛」の存在とそれを信じて犯人を追い続ける刑事の存在が救いか。
刑事の最後はともかくとして。


犯人が誘拐した被害者を解放する理由、
彼女たちが口を閉ざす理由、
犯人を追う刑事はそんな彼女たちから話を聞き出せるのか、などなど
色んなことが気になって一気に読んだし、「読みにくい」とも思わない。


なのに、何故かどうにも惹かれない。
サラッと流れていっちゃう感じで。
文章の相性が悪かったのか……?