『プラチナ・ビーズ』 五條瑛 | 鈴と空のブログ

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読んだ本の紹介を簡単に。
あとは気になる人やニュースなんかについて思ったことを書こうかなと。
たまに真面目なことをかいたりもするかも。

プラチナ・ビーズ/五條 瑛
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「祖国はもう、私の胸の中にしかない」
ある者は信義のために。
ある者は愛する家族のために。
男たちは立ち上がった。
飢餓にあえぐ北朝鮮で進行する、ある「計画」。
期待の大型新人が描く、本格派スパイ小説、渾身の1200枚!
――――― 帯より


人的情報収集活動のプロである葉山は、
ある日事情聴取した「対象者」の言葉の中にひっかかりを覚える。
北朝鮮で何か新しい動きが始まっているのではないか?
アメリカ国防省の情報組織、

通称<会社>の上司<エディ>の指示で葉山は調査に乗り出す。
同じ頃、脱走した米兵の惨殺死体が発見される。
日系アメリカ人である横須賀基地NISC(海軍調査軍)勤務の坂下も、

同じく調査を開始する。
彼らの聞き取り調査の中に、何度も顔を出す謎の男。
北朝鮮の有力者と対等に話し、

ブランド品をさりげなく着こなす長身の優雅な男。
彼の正体は?
そして謎の言葉「プラチナビーズ」とは?
日本をターゲットに水面下で展開している大がかりな作戦の全貌が、
葉山の前に次第に明らかになっていく。
米ソ冷戦構造崩壊後の迷走する北朝鮮とアメリカの諜報戦争を軸に、
否応なくそれに巻き込まれていく人間たちの人生模様、
そして、国家とは、祖国とはいったいなんなのか。
今世紀最後の大型新人が描く、渾身のエスピオナージ!
――――― 表紙袖より


個人的評価 : ★★★★☆


先に『スリー・アゲーツ』を読んじゃって気になっていたことが解決。
葉山とサーシャの関係だとか、葉山が巻き込んで死なせた女性だとか、

葉山父の過去だとか。


「プラチナ・ビーズ」って何のことかと思ったら……。
それが具体的に何を指すのかが解ったときや
冒頭で子どもが呟いたという言葉が最後に明かされたとき、
衝撃だった。


あの子と似たようなことを小さい頃に言った憶えはある。
だけどその切実さや意味合いはまるで違うんだよな……。


採った手段、暴力や殺人やテロというのは間違いだ。
考えは浅はかで馬鹿だったかもしれないけど、
謀略や陰謀とは無関係に生きていた人たちが巻き込まれて死んだ。


だから間違いだと思うし、許されないことだと解ってもいるんだけど、
あの「韓国人船員」たちの思いは私の想像力でも十分理解できる。
特に帯にもある「愛する家族のために」というのは。
生きるために、家族を護るために、なら。


ほんの一瞬とは言え、あのサーシャが感情を露にしたのに驚いた。
それくらいの地獄が今もこの世界のどこかには、

お隣のあの国にはあるんだろうか。


冒頭でサーシャに拾われて、きっかけの言葉を呟いたあの子どもが
『紫嵐』に出てくるあの子か。