- KUNIMORI/五條 瑛
- ¥1,680
- Amazon.co.jp
その愛が向かう先は、国家か、肉親か。
伯母が遺した秘密。それは――
“知られざる世界の住人たち”と一人の少年。
男たちが選んだそれぞれの道。それは――
陽が当たらなくとも平穏な日々、祖国への忠誠、
そして、KUNIMORI
国家とは、愛の在り方とは何かを問う著者渾身の書き下ろし長篇ミステリ
東京下町の貸しスタジオと共に、
複数の賃貸物件を伯母の遺産として相続した武原耕太。
勤め先を辞め、スタジオ経営に専念する彼だが、
同じビル内の会社「デプラ」が夜逃げしたことを知る。
また、それと前後して、「デプラ」の関係者と思われる男たちが、
次々と耕太の前に現れ始めた。
伯母の名を言いながら「たすけてくれ」と繰り返す彼らと「デプラ」の正体、
そして、亡き伯母の秘密……。
それらを調べ始めた耕太の下へ、ある日、
潤という少年が伯母を訪ねてきた――。
――――― 帯より
個人的評価 : ★★★★☆
「国家」なんて言うものだからもっと複雑でしんどい話かと思った。
けど、わりとあっさりサラッと読んじゃった。
描かれてる「デブラ」の男たちの人生、彼らの家族の人生は
とても「サラッと」で済ませられる話じゃないんだけどな。
そのしんどくなりそうな部分は敢えて「サラッと」で済ませたのかな。
「国家か、肉親か」という二択、私にはピンと来ない。
「国家」という言い方ではなくて
「そこで暮らす大勢の人たち(の命)」ということであれば
また受ける印象は違うんだけど。
(特にあの国で)「国家」と言われると、
それはつまりそこで暮らす国民ではなくて
ほんの一握りの特権階級の人たちだとしか思えなくて。
そのために肉親を捨て、仲間の命を奪うのもやむなし、というのは。
国が違えば、時代が違えば、ということか……。
突然現れた見知らぬ少年にそこまで?と思わなくもない。
ただ、そうしてしまうのがあの伯母の身内だってことか。