敷かれたレールを歩きたい!! -1108ページ目

糞にまみれて眠りたい。

修羅場だった。



俺はいつも通り電話して、いつも通り眠りにつくつもりで、順調に夜はそこまで来ていた。

部屋にひいた電話が鳴る。

ここから話が変わってきた。



婆ちゃんの部屋に行くと、鼻をつんざく臭い、妹の恐怖に似た顔。


部屋の奥には、すっ裸の婆ちゃん。


とりあえず親に来てもらうことに。

そっから俺は、糞まみれの婆ちゃんを風呂に入れ、なんの話かわからない話を「うんうん」と聞き流した。


婆ちゃんはパニックもあってか妙に饒舌だった。
でもなに言ってるかは一つもわかんねがったけど。


介護体験がこういう形で生きるとは思わなかった。一回も実働で誘導とかやんなかったけど、あのなごやか白金の介護師さんたちを見てただけでも大きかったんだな。


それから服着せたけど、またトイレで脱がずにしてたから、もう一回風呂に入れた。


それで婆ちゃんをトイレに座らせて、親の到着を待った。


まずおばさんが来た。
おばさんは開口一番、大声で婆ちゃんをまくしたててた。


おかんも着いて一生懸命話しかけてた。


婆ちゃんは、おかんたちのおかんなんだもんなぁ。

でも、昨日は婆ちゃんは婆ちゃんじゃなかったんだ。だから、余計パニクって、だから洋服探してもらって、寝室の糞を拭いて、婆ちゃんを寝かせた。


糞まみれの部屋でおばさんはずっと「今日は調子が悪いだけ」って呟いてた。


糞まみれの婆ちゃんを風呂に入れるとき、糞まみれになりながら、婆ちゃんの小ささを感じずにはいられなかった。


いろんなこと頑張って、

我慢して、

今まで一人でなんとか緊張の糸張りつめてたんだな。


部屋に着いたとき、流し台に入ってた婆ちゃんはあまりにゴラムに似てて、気持ち悪いと思った。

今もまたああなったらどうしようと考えてる。

昨日はいても邪魔だったからおばさんを帰らせて、おかんと二人で交代で見張ってた。


婆ちゃんは変わってしまって、もう戻らないのかもしれない。


でもやっぱり、思い出すのはコーヒー一緒に飲みに行った、いくらいっても煙草をやめない婆ちゃんなんだ。


いいだろう?それも奪われなきゃいけないなら、俺はきっとこれから婆ちゃんと向き合うことは出来ないよ。


だから今夜だけは


糞にまみれて眠りたい。

BGM/「グッドタイムローリングバッドタイムローリング」憂歌團