銀行監督官庁が財務省から独立し、
金融庁に移り15年余りが立ち、
従来延滞がなければ正常先という基準から、
決算書の財務諸表(貸借対照表・損益計算書)の内容精査
と二つの観点から企業を見るようになりました。
延滞すればまずいというのは、常識ですよね。
そうなんですわずか10年ほど前までは、
ちゃんと返済していれば正常先だったのです。
しかも何本が借入口数が増えると返済額が
増えるので、同じ運転資金を一纏めにする
「債務一本化」(何本かの借入を新規で貸出
した中から返済し返済口数、返済額を減らす
方法)は盛んに行われていました。
そうしないと中小企業は返済額に耐えられなかった。
検査マニュアルにこれを「条件変更」の中に
含めたものだから、
一本化できず、返済額ばかり増えて行きました。
結果、金融円滑化法で返済金額の減額で救済
しましたが、最初から債務一本化を条件変更の
くくりから外していたら、大きく様相は
変わっていたはずです。
中小企業は大企業のように収益力が高くない中
やり繰りしていることは、机の上で考えても
分からないと思います。
でも突然「債務超過」とか実態で債務超過です
とかいう基準を持ち出されて、
経営者も税理士さんもそんなことは全く意識せず、
作り続けてきた決算書は
”ほとんど無防備”だったといえます。
経験的に言えば、実際中小企業の決算書は
会計原則からいってもアバウトな所は
少なからずありましたから、
銀行の事情で「貸し渋り」「貸し剥がし」の理由を
つけるのは簡単だったと想像に難くないと思います。