あらすじ:森の奥に住む魔法使いはいつもへまばかり、一緒にすんでる猫とは秘密がありました

配役
ミーシャ♀:街はずれの森の奥で一人で暮らす魔法使い。かなりのコミュ障で落ちこぼれ
フィリ♂:長毛種の茶色の瞳した黒猫。関西弁で喋る

 

ストーリースタート

フィリM:俺の名前はフィリ、森にある家でミーシャという魔法使いと一緒に住んでる長毛種の黒猫や 今日は主が魔法の研究をしとるから、のんびり眺めてんやけど、なんか見てて危なっかしいんやわ…

ミーシャ:えっと、島とかげの尻尾とヤタガラスの羽、ロバの血を魔法陣の中央において、と あとはこの薬を魔法陣に振りまいてっと

フィリ:(だまって、呑気に欠伸をしてる)

ミーシャ:よし、紫の光に変わった 後は詠唱をするだけね

フィリ:おいおい、ほんまに大丈夫なんか?

ミーシャ:なによ、今度こそ上手くいくから 見てなさい!

フィリ:へっ、何の魔法を研究しとんのか知らんけど、どうせまた失敗すんのがオチやろ?

ミーシャ:な・・・なによ

フィリ:いつも必死こいてやっとるくせに、毎回ミスっとるやんけ しかもそれ上級魔法やしよ 下級魔法使いのお前に出来るわけあるかえ

ミーシャ:ふぅ… あたしだってさ、いつまでも落ちこぼれなんていわれたかないのよ だからこの魔法を使えるようになって、故郷のみんなを驚かせてやるって思ってんの

フィリ:へっ、前もえぐい失敗やらかして、長老にどやされて追い出された癖に

ミーシャ:あのさ、うっさいからちょっと黙っててよ! 

フィリ:へーへー

ミーシャ:ヘルム・ラルラ・シャルカルラ・天駆ける渦巻く風 夜を覆う漆黒の闇よ 我の呼び声に応えよ!

フィリ:うぉっ!?

ミーシャ:よし、発動した!あとは魔力が途切れないように集中しなきゃ

フィリ:へえ、お前にしたらええ出だしやんけ この調子やったらうまいこといくんちゃうけ?

ミーシャ:へん、あたしもやればできるんだって わかった?

フィリ:ドアホ、そんなんは最後までやってから言えや

ミーシャ:うん、今度こそちゃんと…って、あれ?なんで流れが速くなってんの?

フィリ:おい、なんかおかしないか?これ

ミーシャ:え?魔術書通りにやってんだけど

フィリ:アホか、よう見れや!暴走してもうてるってんがわからんのか!

ミーシャ:う、うわわわっ!

フィリ:あかん!はよそっから離れて伏せれ!

(ぼふっ!という小さな爆発が響く)

ミーシャ:ううっ…けほけほ!煙を少し吸っちゃった

フィリ:はあ…どうなるか思たけど、そんまま消えたみたいやな

ミーシャ:もう、あんたが声かけるからまた失敗しちゃったじゃん

フィリ:はぁ!?俺のせいにしとんちゃうわ!お前が上級魔法でけんくせに、無理くりやろうとすんのがまちごうとるんやろが!!

ミーシャ:なによ!猫のくせに減らず口を叩いてんじゃないわよ!

フィリ:へぇ、言うてくれるやんけ 誰のせいでこの姿になった思とんじゃ!

ミーシャ:うっ、そ、それは…

フィリ:けっ!数年前お前が故郷で研究してた魔法を試す言うて、俺が止めたのに無理やり発動しよった そんでさっきみたいに暴走してもうて俺がお前庇ったせいでこんな姿になったんやろがえ ちゃうんけ!?

ミーシャ:うん…そうだったよね

フィリ:ふん、騒ぎはすぐ収まったけど相方を動物にしてもうた事が掟に背いたいうて、お前は見放され故郷を追放された そうちゃうんけ?

ミーシャ:(黙ってる)

フィリ:返事せえや!口ないんかおのれは!

ミーシャ:ひっ?!ご、ごめんなさい!うん、そうだよ

フィリ:はあ…そうやってふてくされて返事せんこととか、次からは頑張る言うといて態度に示さんのが嫌われる原因やって、少しは自覚せえよ

ミーシャ:うん、わかった

フィリ:そうやって素直に返事したらええのによ ほらさっさと片づけるで、やってられんわ

ミーシャ:ったく、なんでもあたしが悪いとか決めつけてきてさ ろくにわかりもしないくせに

フィリ:あ?なんか言うたかコラ

ミーシャ:ううん、なんでもないよ この小瓶をあっちの棚に戻しておいてくれる?

フィリ:あいよ

ミーシャ:この本はあとで机に置いて、あとは本棚にもどしてと

フィリ:あ~、さっきの暴走のせいで、ちと埃かぶってもうたわ

ミーシャ:そっか、じゃああとでお風呂にいれてあげるね

フィリ:ああ頼むわ 自慢の毛並みがゴミまみれになってもうてたまらんしよ

ミーシャ:よいしょっ、と これで片付いたかな

フィリ:おい、このほうきなんとかしてくれや さっきから俺を掃こうとしくさって、俺はゴミちゃうぞ!

ミーシャ:あ、ごめん!

フィリ:ふぅ、ちょっとした魔法でもこれやしな まともに使えるんは少しだけやしよ

ミーシャ:むぅ~ それいわないで

フィリ:言われたないなら、もっとちゃんと出来るようになれや、ボケ

ミーシャ:わかったわよ あたし、お風呂沸かしてくるね

フィリ:あいよ ったく、里におる同い年の魔法使いは上級魔法使いとして独り立ちしとるっちゅうのに、あいつはいつまでも子供みたいに失敗してばっかしてよ 俺が長老に言われてあいつのパートナーとして一緒にやっとるけど、まったく成長しとらんもんな ったく、あいつまた片づけんの忘れとるな えっとなになに?、ん?これ、まさかあいつ…

ミーシャ:フィリー、どこにいるの?

フィリ:あ、やっば (台詞後に猫の鳴きまねをしてださい)

ミーシャ:あ、まだここにいたのね?

フィリ:なんな、おったらあかんのか?

ミーシャ:もう、そういう意味で言ったんじゃないってば 先にフィリを洗おうと思って探してたの

フィリ:そっか ほな頼むわ

ミーシャ:じゃあ、ちょっと抱っこするね よいしょっと

フィリ:おいこらボケ!俺のキンタマに触んなや!

ミーシャ:ごめん、触り心地いいからつい

フィリ:おまわりさーん、ここに変態がいてますぅ!!

ミーシャ:ちょ、ちょっとお!

(3秒あけ)

ミーシャ:よし、もふもふになったよ

フィリ:あいよ、ごくろうはん 悔しいけどこの毛並みはお前やないとでけんしな

ミーシャ:ふふん、風魔法はあたし得意だもん

フィリ:せやな ぬくい風を上手いこと調整して薬草の乾燥とかしとるさかい、こんくらいはちょろいか

ミーシャ:うん 風とか水は操りやすいからできるのよね

フィリ:せやったらもっと勉強して、魔法上達してくれや

ミーシャ:なによ

フィリ:そやないと、この先いつまでも俺のサポートがないと独り立ちでけへんやろが もっとも、俺の姿を戻してからの話やけどな

ミーシャ:う~ん、これでも勉強してるんだけどな

フィリ:はいはい、また言い訳かえ

ミーシャ:あんたこそ、あたしをひとつも認めないくせになんなのよ!

フィリ:は?俺がお前を認めるとかするわけあるかえ どっちか言うたら信用しとらんわ

ミーシャ:それって、魔法上達できないから?

フィリ:ちゃうわボケが 人をこんな姿にしといて、反省もせんといっこもやる気起こさんからじゃ

ミーシャ:そんなことないもん

フィリ:じゃかあしわ ほんで今日の俺の晩飯はなんな?

ミーシャ:え?いつもの高級カリカリだけど

フィリ:んなもんばっかやと飽きるさかい、たまにはイワシの丸焼きとか作ってくれや 頭からがっつきたいねん

ミーシャ:それなら、昨日から干してたニシンあるから、それを焼くね

フィリ:ニシンの一夜干しけ、ほなそれ頼むわ それと玉ねぎ抜きの野菜スープな

ミーシャ:またなの?元は人間なんだし、玉ねぎくらい食べれるんじゃないの?

フィリ:あんな、俺は元々玉ねぎ嫌いなんやって あんな苦みあるやつ食いもんちゃうわ

ミーシャ:はいはい、わかったわよ 晩御飯の支度してくるから、ソファでのんびりしてて

フィリ:あいよ さて、俺も魔法使んと鈍るから、ちょとやっとこか

ミーシャ:あのさ、変な事しないでよ?

フィリ:お前と一緒にすな、ボケが

(3秒空け)

ミーシャ:ふぅ…、ごちそうさま

フィリ:あ~うまかった 魚はやっぱ頭から食うのが一番やわ

ミーシャ:じゃあ、あたし洗い物してくるから、のんびりしてていいよ

フィリ:おお、そうさしてもらうわ

ミーシャ:そういえば、今日は満月なんだよね?

フィリ:ああ、そういうたら数か月に一度の、ムーンロードが開く日やったか

ミーシャ:うん あの光が導くところに魔法使い達が集まって大魔法使いの教えを聞く集会があるの 片付けが終わったらあたしも行かないと

フィリ:へっ、そんなん意味ない思うけどな

ミーシャ:な、なんでよ

フィリ:お前みたいに下級魔法しかでけへん落ちこぼれが行っても、意味なんかないやんけ

ミーシャ:そんなことない!

フィリ:ほお?大魔法使いは魔法薬の作り方やら掟、伝承とか教えてくれるやろけど、大して魔法もできんお前なんかに行く意味なんか無い言うたんや!

ミーシャ:もうあったまきた!いつもそうやってあたしの事をバカにして見下して、ひとつくらい協力するとか、そういう気持ちないの!?

フィリ:ふん そんなのあるかえ、ボケが

ミーシャ:なによ、あんただって食っちゃ寝のデブ猫のくせに!

フィリ:なんやとコラ!もう一度言うてみいや!この万年落ちこぼれのポンコツがえ!

ミーシャ:ええ!何回でも言ってやるわよ!あたしより魔法できるからって偉そうな態度とっててさ、本当はあんたもロクことできないんじゃないの?

フィリ:はあ!?ぬかしやがったな!このダボが!

ミーシャ:痛っ!何も手を引っ掻くことないじゃない!

フィリ:だまれゴルァ!顔やらんかったくらい感謝せえや!人の忠告聞こうともせえへんアホの分際でよ!

ミーシャ:うっさいよこのクソ猫!いつも悪態ついて手助けする気なんかないくせに!

フィリ:危なっ!風魔法で物を飛ばしてくんな!

ミーシャ:もうあんたなんか大嫌い!出てってよ!

フィリ:ああ出てったらあ!俺かてお前の顔なんか見たないわ!

ミーシャ:ふん、なによ!あたしだってほんとは…

(3秒空け)

フィリM:はぁ~、なんでいつもこうなんねん あいつが少しでも一人前になりたい言うて必死に頑張ってて、友達一人もおらんって、寂しくて泣いとんのもわかっとんのに、俺が少しでも早く元の姿に戻りとうて、つい怒鳴ってまう ほんまはミーシャの事信用しとんのに…

(3秒空け 回想シーン)

ミーシャ:ねえ、フィリ

フィリ:ん、なんや?

ミーシャ:もしさ、魔法であんたの姿を元に戻せたら故郷のみんな驚くかな?

フィリ:ああ、せやろな

ミーシャ:あたし、頑張っていっぱい魔法を使えるようになって、あんたを人間に戻してあげるね

(回想シーン終わり 3秒空け)

フィリ:あ、もう満月が真上に行きかけとるし、魔法使いの連中も向かっとる よっしゃ、こないなことしとる場合ちゃうわ

ミーシャ:化膿止めの薬塗ったけど、暫く腫れてそうだなあ はあ…今夜の集会は行くのやめよ

フィリ:(猫の鳴きまねをしてください)

ミーシャ:フィリ?なによ、出てったんじゃないの?

フィリ:ふん、お前見張ってへんかったら、何しでかすかわからんさかい戻ってきただけや

ミーシャ:あっそ、んじゃ勝手にすればいいでしょ?

フィリ:こいつはほんまに いつまで拗ねとんねん ほら、早く行かんと集会に遅れるで?

ミーシャ:なによ?行くなっていったのはそっちじゃない

フィリ:うっさいやっちゃな、気が変わったんや それにお前が集会行って教え聞かんと、俺が長老に怒られるさかいよ

ミーシャ:結局そっちなのね もう、わかったわよ

フィリ:そうきてくれなな よっこいせっと

ミーシャ:もう 相変わらずあんたは、あたしの頭の上に乗るのね

フィリ:うっさいな ここの方が見晴らしええんやよ

ミーシャ:振り落とされないようにね

フィリ:お前こそ、スピード上げすぎんなや?

(3秒空け)

ミーシャM:口うるさいフィリだけど、本当はあたしの事を心配してるし一人前になってほしくて言ってるんだってわかるし、あたしだってフィリがいてくれるおかげで色んなことを知ることだってあるし、寂しいのもつらいことも我慢できるんだ あたしにとって一番大切な存在だもん

フィリM:なんやかんや言うても、俺とミーシャは大切なパートナー こいつの事悪う言う奴がおったたら俺が許さん たしかに出来損ないやけど、こいつはええとこかてあるんやしな

ミーシャ&フィリ:さあ、行こう 2人で大魔法使いのもとへ