「明けましておめでとう~」
冬休みも終わって久しぶりにキャンパスに戻ると、サークルの先輩のMさんから声をかけられた。
「冬休みは楽しかった?」
笑顔で話しかけてくるので、ちょっとびっくり…今までキャンパスですれ違っても声もかけてもらえなかったのに…。
「はい、クリスマスは最悪でしたが年末年始に友人たちとスキーにいってきたので…」
そう…最悪なクリスマスを家族と過ごしたあと北海道に女の子4人でスキーに行ったのだ。
みんな高校の修学旅行で滑って以来で初心者レベルなのだが、それが良かったのか?けっこうナンパのような形で滑り方を教えてくれる人がいてそこそこ上手になって帰って来た。
「夜も遊ぼう…」なんて誘われる子もいたが、失恋直後の私がいるためみんな気を使って断わっていたみたい。
Rも日中スキーの滑り方を学生時代体育会スキー部に所属していたという人に教えてもらって、パラレルを描けるくらいには上達していた。
「よかったら、放課後お茶しない?」
「え~先輩から声をかけてくれるなんて、嬉しいです!私午後も授業あるんですが、いいですか?
「そうよね…1年生だし試験前だからサボれないわね…4時に学生ホールで待ち合わせしましょう。」
「わかりました、ありがとうございます。」
「なるべく明るく返事をしたけど…どうしてM先輩が私に声をかけてくれるんだろう…。」
頭の中にたくさんハテはあったが、とりあえず試験前なので授業に集中した。
午後4時、学生ホールに顔を出すとM先輩が椅子に座って待っていた。
M先輩、人懐っこい笑顔のきれいな人で、アルバイトでローカル局のアシスタントをしている。
就職も東京の広告代理店に内定って言ってたっけ…(それもGと同じ…)
Gのことはまだ好きだけど、大事にしてくれない男の子のことを思っても時間の無駄…
M先輩と学校の門を出て駅へと向かう途中、「あぁお迎えが来てる…」ってダークカーキのランドクルーザーに向かって走り出した。
「M先輩?」って声をかけたら「Rちゃん早く~」って…
そのまま先輩は助手席に乗り込み、私は後ろの席に…。
「Rちゃん、紹介するね…、○○○のTさん」
「学祭の写真のRを見て、紹介して欲しいって。 でもね、変な意味じゃなくてアルバイトの紹介なの…」
「私も卒業するから、私の代わりの子を探しているらしいんだけど…Rちゃんどうかなぁ…」
「初めまして…」低く通る声で挨拶をするTさん…
「良かったらお茶でも飲みながら、僕の話を聞いてくれませんか?」
そのまま車はヨットハーバーに向かって走っていった。

