🦔side
運命だと思っていた。
信じて疑わなかった。
付き合ったことはないけど、お互いどこかでお互いを意識している関係。
由依とは 中学、高校と一緒で、クラスが離れても週4で一緒に帰るくらい仲が良かった。
もっと言うと、私は由依が好きだった。
言葉にして伝えたこともある。
でも、私にとって「好き」と「付き合ってください」はなにか違くて、お互いの好きが成立したからと言って、はい付き合いましょう は腑に落ちなかった。
由依が私の事を好きだと言うことは分かっていたのに、肝心の私は最後までヘタレで どうしても「付き合おう」の五文字が言えなかった。由依はそれを待っていたから、学生時代一度も恋人を作らなかったのだと思う。
多分、普通の恋人たちのように、独占欲のままに、由依を自分のもとに留めておけばかったんだ。
そうしておけば、疎遠になった今もこんなに由依を想うことも無かっただろう。
でも、私たちの間にはいつも障壁があって、
いざ告白しようとしても どちらかが別の人から告白されてしまったり。
はたまた それを一方が見てしまったり。
小さいことで言い争いになって喧嘩したり。
相手を信じきれなくて、逃げてしまったり。
未熟な私はそれさえも引っ括めて運命と信じ込んでいた。
あの頃、自然とお互いを求めていたように、今日来た「渡したいものがある」の連絡もそれの1つだろう。
細々と連絡は取っていたけど、何ヶ月か途絶えていたから、通知の「由依」の文字が新鮮に感じる。
だいぶ前に 由依の家に行った時に、私が忘れていった物があるから それを渡したいとのことだった。
学生時代 2人でよく寄り道した公園で待ち合わせることにした。
私は、あの頃言えなかった言葉を、密かに準備して公園へ向かった。
----------------------------------
久しぶりに見る由依は、髪を明るく染めて 綺麗な大人の女性になっていて、公園のぼんやりした街灯が余計その美しさを際立たせていた。
由「久しぶり 思ったより元気そうで良かった」
理「私、そんな体壊すイメージあるの?笑」
由「理佐 すぐ無理するじゃん笑」
他愛もない会話。他愛もないのに、すごく特別な言葉達に感じる。
由「はい これ」
理「あぁこのアルバムか 言わなければ由依にあげたのに笑」
由「一応ね。それに私ロックはあんまり聴かないし笑」
由「趣味じゃないもの置いてると怪しまれちゃうからさ、」
理「? 誰に?」
由「彼女 もうすぐ同棲するんだ。」
急激に頭が冷えていった。
冬の寒さなんかじゃない。
血が回らなくなった感じで。
え?彼女?
あんなに恋人作らなかった由依が?
由「私の部屋に来るから、色々断捨離してたの」
………そうか、モタモタしてるうちに、由依はもう別の未来を進んでたんだ。
ぐるぐるモヤモヤ、混乱しているはずなのに私の声は自分でも驚くほど冷静だった。
理「幸せ、なんだね、」
そんなこと聞かなくても分かっているのに、由依があんまり切ない表情をするから思わず聞いてしまった。
由依も私の冷静さに驚いているようだった。
由「……うん」
理「………」
由「………」
沈黙が苦しいはずなのに、帰りたくはなくて、ただただ黙りこくっていると、
由「…じゃあ、ね 体に気をつけて」
あの頃、2人だけで色んな話をしたベンチを横切って由依は背を向けて、進み出した。
あぁ、行ってしまう
二度と、会えなくなっちゃう。
嫌だ 私はまだ何も伝えられてないのに、、
理「由依!!!」
私の声が静かな公園に響く。
由依が立ち止まった。
理「私ね、ずっと由依が好きで、なんなら今も、」
由「私たちさ」
矢継ぎ早に訴える私を遮って由依が声を上げた。
先程の私と同様、その声は酷く冷静で。
由「一緒になろうとする度に、上手くいかなくて 気まずくなったじゃん? 何回も何回も何回も」
由「つまりさ、」
由依が1つ息を吸って、告げた。
由「合わないんだよ、私たち」
そう言って振り向いた由依の顔は、マフラーから溢れるほどの 涙でぐしゃぐしゃで それさえも美しく思えて、私は思わず駆け寄って 由依を胸の中に閉じ込めていた。
もう由依の心には、私じゃない人が居る。
きっと私より優しくて、ちゃんと言葉にして気持ちを伝えてくれる人。
きっと敵わない。奪うみたいなこともしたくない。
だからせめて、せめて、、
理「幸せになってね お願いだから」
由依に出会ってから今日までの 全ての想いを込めて強く強く抱き締めて伝える。
由依が私の背中に腕を回して、頷いたのがわかった。
抱きしめ合って数分、
どちらからでもなく、離れて、歩き出す。
今度こそ、本当にお別れ。
寂しくて、切なくて、悔しくて、愛おしくて。奥歯を噛み締めて出口に向かっていると 背後から足音が聞こえた。
刹那
強引に振り向かされ、上着の襟を引き寄せられる。
大好きな顔が目の前にあると思ったら、唇に熱を感じた。
次に見たのは、今まで見た事のないような由依の優しい顔で、1度だけ私の頬を撫でて、そのまま何も言わず公園を出ていってしまった。
私に、解けない呪いをかけて。
さよなら、大好きだったよ。
----------------------------------
駄作です。笑