こんにちは
今回の記事は、前回記事にてお伝えしていた通り、風洞作りの進捗報告になります。
風洞作りの工程は、大まかに分けると以下のような感じです
1.実験条件の検討
2.条件に合う風洞の設計
3.依頼先アクリル板業者の調査
4.発注用図面の作成
5.業者への依頼
6.納品物の寸法等確認
7.組み立て
8.完成(わーい🙌)
今回の記事は2.〜5.までを書いていこうと思います
風洞とは、心太の筒
いいえ違います
風洞とは、空気が流れるように両端を開口した筒状のものです
主に空気の流れに起因する諸実験に使われます
用途として一番知られているのは、戦闘機、レーシングカー、新幹線等の空力特性を調べるためのもの
ですかね
"筒"と書きましたが用途によってサイズは様々です
モックアップのような実物に近い模型を用いて試験をする場合もありますし、試験対象部位だけ取り出して簡素化・小型化した模型を用いて試験をする場合もあります
車のような大型のもので実物や実寸法模型(モックアップ)を用いて風洞試験をする場合、"筒"というより"部屋そのもの"が風洞とかります
近年ではモックアップや試作機による実験が大幅に減縮しています
数十年前からCAD、CAE技術が飛躍的に進歩しました
2000年台に入った頃には既に実試験の回数も減り、代わってコンピュータ上でのシミュレーションで空力解析の大部分をまかなうようになっています
実試験ではコストや時間がかかり過ぎるのですが、シミュレーションではそれらを大幅に削減できます
またコンピュータ技術の性能向上、解析技術の発展により、解析の精度も飛躍的に上がっています
それでもなお、空気の流れに起因する諸問題を調査するにあたって、風洞装置による実験も欠かせません
決して"後ろから押してむにゅーっと寒天の束みたいなのが出てくるやつの入れ物"ではないのです
と、風洞について大それた紹介をしましたが、私が作ろうとしている風洞はそれはもう可愛らしいものです
開口断面は30mm×30mmの正方形
長さは150mm程度
見た目はまんま"心太の筒"です
風洞を探し求めて
当初は「開口断面が正方形(30mm角)の、両端開口のアクリル製の筒」をネット通販サイトで探していました
出来合いのものが汎用品として売っていれば、それを買うのが手っ取りやばく、かつ安くすむためです
Amazon、モノタロウ等で探してみたところ、微妙に要求にそぐわなかったり、コストが高かったり
「アクリルのパイプなんてすぐ見つかるだろう」と思ったのですが、案外見つからないものです…
それはもう何週間も探し続けました(=家事育児仕事が忙しくてあまり調べる時間がなかった)
夜も寝られなくなるほどアクリルパイプのことを考える日々でしたね…(=元々不眠症気質なため)
そんな苦しい?日々の中、要求に1番近しいもので唯一見つかったのが
↓こんなのです
これはいい
なんといっても安い!
ただ結論からいうと、このアクリルパイプは買いませんでした…
上記のような既製品のアクリルパイプの場合、パイプ壁面に穴あけ加工が必要です
私にはそんな加工技術も道具もありません…
詳しく書くと、次の通りです
今回やろうとしている実験では、風洞(パイプ)の真ん中あたりに試験対象の試験片を配置します
そのためパイプの中央に"試験片取り出し用の穴"を開ける必要があります
ですが穴が空いたまま風洞に空気を流すと、当然ですがその穴を通って風洞の中から外へ空気が漏れます
この空気の漏れは風洞内の空気の乱れに繋がります
試験条件は常に一定でなければならず(∵試験結果に再現性維持のため)、空気の乱れは禁物です
常に一定で流れていて欲しい(そのために整流装置も入れる予定です)
ということは、装置の準備の際には穴から試験片の出し入れが可能であって、試験時にはその"穴".を密閉できるような構造にしなければなりません
となると、上記のような既製品のアクリルパイプの場合、パイプ壁面に穴あけ加工が必要になるのです
そして厚み5mmのアクリル板に30×50mm程度の穴をあける穴あけ加工なんて、工具もろくにない私のような不器用素人人間には無理
無理無理無理の無理の助
穴あけ加工をせずにどうにかこのパイプを使ってできないものか色々と検討しました
複数本パイプを買って継ぐようにしたり、試験片配置部だけ別体にしたり
しかしあれこれ考えた末、このパイプにこだわると結局コストがかかり過ぎるという結論に
アクリル板を組立てる
そこで既製品のアクリルパイプはやめて、自分で角型の筒を組み立てることにしました
複数枚のアクリル板を貼り合わせて角型の筒を作り、これを風洞とします
とはいえ上述した通り、アクリル板の切り出し、穴あけ加工等は私には無理です
はなから諦めてます
そこで、図面を描いてアクリル板業者に発注することとしました
機械工学専攻修了、元機構設計職の経験(経験年数2〜3年なので素人同然)が唸ります
↓こんな感じの図面をCADで適当に描き、業者の簡易的な見積もり依頼します
当然ですが小数点第2位以下の精度なんてかなりコストかなるので、適度に丸めるように依頼
とはいえこの数値が実験上とても重要なので、本当は丸めたくないところなんですがね…
というところで、今日の記事はここまで!
次回の記事では、風洞パーツ(アクリル板)の受領から組み立てまでを書いていこうと思います
では!また!!