目を覚ましてから、深呼吸
結局いまでも
ピーターパンに憧れたまま
良い気でいると叱られる事が増える歳に
なってしまいました
ちっとも検討のつかない事や
ちっとも理解に及ばない事ばかりで
なんだか煙のように吹かれてる
早朝に電車に乗る事が
苦痛じゃなくなりました
朝露を乗せた葉っぱに
生命という言葉のエネルギーを感じさせられました
朝陽を受ける湖の水面ほど
穏やかで静謐な物はないと思いました
上空で靡く溶けた白い和紙の様な雲も
少しもシンメトリーではなくて
むしろアシンメトリーでもなくて
ただ法則性も無く揺れて象って
朝を迎えたばかりの眠たそうな空と
無邪気に溶け合うんでしょう
もうちょっと見ていたいかな、なんて
そんな時思うのです
わたしに裏切られたら
自らこの生を断つ、と
もう何人に言われたことかも分からなく
それならば
その生を持続させる為にわたしは
何をできるんだろうと考えても
一向に案など浮かばなく
なんだか風のように横切ってる
目を覚ましてから、深呼吸
もうずっと昔のことのようで
色褪せていくのを実感します
視界に漂ってきた琥珀色の夕焼けと
黄昏の空気を吸った木々や畑
生温い風を受けて自転車に乗る
この景色をあなたにも見せてあげたいと
ふと思い出してしまいます
結局いまでも
ピーターパンに憧れたまま
あなたはわたしを思い出しますか
それとももう嫌いになってしまわれましたか
問いかけないよ、全然
目を覚ましてから、深呼吸
だってあなたの夢を見るの
顔の映らない
声の聞こえない
色褪せた夢
煙のように実態がなく
風のように横切ってく
目を覚ましてから、深呼吸
夕方に電車に乗る事は
まだちょっと苦痛です
疲労を乗せた鉄の塊が
1日の終わりの準備を始める街中を走る
だけど家でわたしを待つ家族と
美味しい夕飯を思うと
静かに目を詰むらざるをえないのです
窓の外に立ち並ぶ団地の窓が無数に明るく光って
誰かを待って誰かを迎えてそうして生きる人々の
温かい日常がそこに凝縮されていて
電気は日々ただ規則的に灯るのだとしても
1秒足りとも人々は生きることをやめずに
誰かを愛して息吹くのでしょう
もうちょっとこの世界にいたいかな、なんて
そんな時思うのです
わたしに裏切られたら
自らこの生を断つ、と
もう何人に言われたことかも分からないけど
わたしに裏切られても
どうかその生は永らえさせてくださいと
笑って頼むわたしを
どうか許してやってください
ただ最期を迎える前にあなたに会えたら
そっと手を取って
またいつか、と伝えられたら
いいえ、わたしはただ
いまでもずっとあなたに焦がれているのです
ピーターパンはすぐそこで
わたしを待っています
ただ今は
明日の陽射しを受けるがために