ベトナム開発チームにEVMを導入して見えたプロジェクト管理の本質

 


DX推進やシステム開発の需要が高まる中、多くの企業がオフショア開発を活用している。しかし一方で、次のような声も少なくない。
「報告では順調だったのに、最後に遅れが発覚した」
「進捗状況が本当に正しいのか分からない」
「日本側と海外チームの認識がずれてしまう」

問題は技術力ではなく、“見えない進捗”にある。
RIKAI株式会社では、この課題に向き合うため、ベトナム開発チームにEVM(Earned Value Management)を導入した。本記事では、導入を主導したエンジニア、ブイ・ミン・トゥ氏に、現場で起きた変化について話を聞いた。


「問題ありません」という報告への違和感


- なぜEVM導入を考えたのでしょうか。
トゥ氏:
 プロジェクトの定例会議では「順調です」という報告が続いていました。しかし、後半になって急に遅延が表面化することがあったんです。
分析してみると、誰かが嘘をついていたわけではありません。
 ただ、“進んでいる感覚”と“実際の進捗”が一致していなかった。
タスクは動いている。でも予定工数との差は見えていない。
 この状態では、問題に気づいた時には手遅れになりやすいんです。
そこで私たちは、「感覚ではなく数値でプロジェクトを見る」必要があると考えました。


最大の課題はツールではなく「心理的ハードル」


EVM導入は、単なる管理手法の追加ではなかった。
トゥ氏:
 最初はエンジニアから抵抗もありました。
 「管理が厳しくなるのではないか」と感じた人もいたと思います。
そのため私たちは、EVMを評価のためではなく、“チームを助ける仕組み”として説明しました。
目的は監視ではなく、早く問題を見つけて皆で解決すること。
 この理解が進んでから、徐々に定着していきました。


数字が共通言語になった瞬間

 

導入後、チームの会話は大きく変わった。
以前:
「少し遅れているかもしれません」
導入後:
「SPIが0.85なので、このままだと約2週間の遅延リスクがあります」
トゥ氏:
 数字があることで、日本側とベトナム側の議論が感覚ではなく事実ベースになりました。責任追及ではなく、対策の話ができるようになったんです。


遅延をゼロにしたのではない。「早く気づける」ようになった


興味深いのは、EVM導入後も問題そのものは消えていないという点だ。
トゥ氏:
 プロジェクトに問題が起きること自体は自然です。ただ、大きな違いは“早く気づける”ようになったことでした。
小さいズレの段階で修正できるため、結果としてプロジェクト全体の安定性が大きく向上しました。


オフショア開発成功の本質は「透明性」



今回の取り組みを通じて見えてきたのは、管理手法そのものよりも重要な要素だった。
トゥ氏は次の3点を挙げる。
1. 可視化は信頼を生む
 情報が共有されるほど、チーム間の不安は減る。
2. 完璧な管理より継続できる仕組み
 現場に負担をかけすぎない設計が重要。
3. データは対立を減らす
 感覚ではなく事実で議論できる。


「オフショアが難しい」のではない

 

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―― 同じ悩みを持つ企業へメッセージをお願いします。
トゥ氏:
 オフショア開発が難しいと言われることがありますが、多くの場合は距離の問題ではなく、可視化の問題だと思います。
状況が見えれば、チームは自然に改善できる。
 EVMはそのきっかけの一つでした。


プロジェクト管理は“経験”から“再現性”へ


 

AIやDXが進むこれからの時代、開発プロジェクトはさらに複雑になる。
トゥ氏はこう語る。
「経験や勘は重要ですが、それだけに依存すると再現性がありません。データを活用することで、安定したプロジェクト運営が可能になると思います。」


RIKAIが目指す開発スタイル


 

RIKAI株式会社では、日本とベトナムの開発チームが同じ指標を共有し、プロジェクトの透明性を高める取り組みを続けている。
単に開発リソースを提供するのではなく、
 “見えるプロジェクト運営”を前提としたオフショア開発を目指している。
もし現在、

  • 進捗が本当に正しいのか不安がある
  • プロジェクト管理の改善を検討している
  • オフショア開発の品質を安定させたい

と感じているなら、一度現状を整理するだけでも新しい視点が見えるかもしれない。
RIKAIでは、実プロジェクトの経験をもとにしたディスカッションも随時行っている。

 

「見える化」による安心のプロジェクト運営をご希望の方は、ぜひお気軽にRIKAIまでお問い合わせください。貴社の課題解決に向けた最適な管理手法を、私たちと一緒に見つけていきましょう

 

 

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■RIKAIについて
高い技術と高い品質で事業を成功させる。

RIKAIはソフトウェア開発を軸に、「人と技術を中心としたビジネス」を展開しています。お客様に寄り添うことで、お客様の「真のニーズ」を把握し、本当に価値のあるサービスを提供します。私たちは、お客様と長期的かつ信頼できるパートナーになることを目指しています。

🏢 商号:RIKAI株式会社
📅 設立:2017年11月15日
👤 代表者:代表取締役 ドアン・ハイ・バン
📍 所在地:〒160‐0023 東京都新宿区西新宿6-12-1 パークウエスト5階
👥 従業員数:300名

🛠️ 業務内容
・システム開発(業務システム、モバイルアプリ、インターネットサービスサイト、IoT・AIアプリ)
・システムマイグレーション
・システム保守・運用
・通信販売

🌐 公式WEBサイト:https://rikai.technology/
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「オフショア開発を始めたけれど、コミュニケーションが難しい」「品質や進捗管理に課題を感じている」とお悩みの管理者の方は多いのではないでしょうか?

言葉や文化の壁を越えて、現地の若いエンジニアたちとスムーズに協働するのは、決して簡単なことではありませんよね。 本記事では、大手IT企業(SCSK)での豊富な経験を持ち、現在はベトナムオフショア開発企業「RIKAI株式会社」の最高開発責任者(CDO)を務める佐野幸雄氏のインタビューをもとに、オフショア開発におけるプロジェクト管理のコツと成功の秘訣をご紹介します。

オフショア開発チームとのより良い関係構築や、プロジェクトを円滑に進めるためのヒントを探している方は、ぜひ最後までお読みください。

なぜオフショアプロジェクトで問題が起きるのか?


オフショア開発でよく直面する一番の課題は、言語の違いよりも「プロジェクトの可視化」と「目的の共有」に対する意識の違いにあります。 日本の発注者は「オフショア=安くプログラミングをやってもらう場所」と考え、製造工程に直接必要な最低限の資料だけを渡しがちです。しかし、それでは開発者がエンドユーザーの利用シーンを想像できず、行間を読むことができないため、結果として仕様漏れやバグが多発してしまいます。 これを防ぐためには、キックオフミーティングでプロジェクトの目的や「なぜこのシステムが必要なのか」という業務的な背景までしっかりと共有することが重要です。開発者が背景を理解してシステムを作れるようになれば、後工程での手戻りが少なくなり、結果的に品質と生産性が大きく向上します。

トラブルを未然に防ぐ!日本人マネージャーの重要な役割


プロジェクトをフォローする際、マネージャーは「報告内容」と「レスポンスの速さ」に注目してみてください。

これは私の印象ですが、オフショア側には「とにかく早く出すことが大事」という価値観があるように感じます。そのため、レスポンスが早すぎる場合や、相手からの質問が全くないまま「理解できた」と返答があった場合は要注意です。必要なセルフチェックや内部レビューが省かれていたり、日本独自の複雑な業務仕様を十分に理解していなかったりする可能性があります。

【改善のアイデア:設計確認書の導入】 プログラミングに入る前に、顧客の設計書をどれだけ理解したかを確認するための「設計確認書」を作成してもらうのがおすすめです。これをレビューすることで、オフショア側の仕様理解力が飛躍的に上がり、重大なバグを激減させることができます。

また、3〜4ヶ月ごとに定量・定性の両面から「品質評価」を行うことも効果的です。課題だけでなく「前回からの改善効果」も評価してあげることで、チームのモチベーションアップや主体性の向上につながります。

初めてのオフショア開発を成功させる3つのアドバイス


佐野氏の経験から、日本企業がベトナムオフショア開発を行う際の具体的なアドバイスを3つご紹介します。

  • 日本語の些細な間違いよりも「要点」の理解を重視する 日本語での会話や文章に多少おかしなところがあっても気にせず、依頼したことの大事なポイントを理解しているかに目を向けましょう。
  • 「両国の祝休日」の違いを意識してスケジュールを組む 日本のゴールデンウィーク・正月と、ベトナムの旧正月(2月中旬)など、稼働日のズレに注意が
  • 翻訳・通訳の時間をスケジュールに盛り込む 日本語とベトナム語の翻訳・通訳にかかる工数を必ず意識し、あらかじめWBS(作業分解構成図)に盛り込んでおくことが重要です。

コスト削減ばかりにこだわりすぎず、品質を作り込む時間をしっかり確保することが、結果的にプロジェクトを成功(コスト削減)へと導きます。

AI時代のオフショア開発と、これからのマネージャー像


AI時代のオフショア開発と

生成AIがシステム開発の必須ツールとなる中、これからのオフショア開発はAIエージェントと一緒に働く時代へと変化していきます。 プログラミングやテストの多くをAIが担うようになる時代において、私たち人間が手放してはいけない重要なスキルは以下の2つです。

  1. 顧客からの要求を整理し、AIに正しく伝えるスキル
  2. AIが作成した成果物を検証し、最終承認を行うスキル

将来的には、日本人マネージャーはグローバルなITの知見と日本の文化・慣習を熟知した上で、オフショア側と日本の顧客をつなぐ「橋渡し役(コーディネーター)」としての役割が求められるようになるでしょう。

まとめ


本記事のまとめは以下のとおりです。

  • 目的を共有する: キックオフでプロジェクトの背景を伝え、協働意識を高める

  • 可視化と確認を徹底する: 質問がない時は注意し、「設計確認書」などで理解度を確認する

  • 文化の違いを受け入れる: 言葉の壁に寛容になり、祝休日の違いをスケジュールに組み込む

  • 未来を見据える: AI時代は、要求整理と成果物検証、そして「橋渡し役」がカギになる

ベトナムの若いエンジニアたちの明るくエネルギッシュな姿勢は、日本のプロジェクトにも素晴らしい活力を与えてくれます。本記事で紹介したコツを参考に、客観的な視点と優しい眼差しを持って、オフショア開発チームと最高のパートナーシップを築いてみてくださいね

 

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RIKAIについて
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RIKAIはソフトウェア開発を軸に、「人と技術を中心としたビジネス」を展開しています。お客様に寄り添うことで、お客様の「真のニーズ」を把握し、本当に価値のあるサービスを提供します。私たちは、お客様と長期的かつ信頼できるパートナーになることを目指しています。

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はじめに


近年、生成AIの急速な普及により、ソフトウェア開発の現場は大きな転換期を迎えています。
これまで開発の価値は、「どれだけ早く・正確に作れるか」という実装力そのものにありました。しかし現在、多くの開発者がAIを活用することで、コード生成や設計補助の速度は以前とは比較にならないほど向上しています。
つまり、「作ること(Create)」のハードルは急速に下がりました。一方で、新たな課題も生まれています。それは、
「その成果物は本当に正しいのか?」
という問いです。
AI時代において、品質管理の意味そのものが変わり始めています。


従来の品質管理の考え方


従来のシステム開発では、品質管理は主に以下の流れで行われてきました。

  1. 要件定義
  2. 設計
  3. 開発
  4. テスト(品質確認)

つまり、品質は開発工程の最後に確認するものという考え方です。このモデルは、人間がコードを一行ずつ書いていた時代には合理的でした。開発速度が比較的緩やかで、変更も限定的だったため、最終工程での検証でも十分に品質を担保できたのです。
しかし、この前提はAIの登場によって大きく揺らいでいます。


AIが変えた「開発の前提」


生成AIは、開発における生産性を飛躍的に向上させました。現在では、以下のような作業の多くをAIが支援できます。

  • コード生成
  • テストコードの作成
  • ドキュメントの生成
  • リファクタリングの提案

これは非常に大きなメリットですが、AIには同時に次のような特徴(リスク)もあります。

  • 一見正しそうなコードを生成する(ハルシネーションのリスク)
  • 文法的には正しいが、個別の業務要件に合わない場合がある
  • 開発の背景や文脈を完全には理解していない

つまりAIは、「速く作ること」は得意ですが、「正しさを保証すること」は得意ではないという性質を持っています。結果として、開発現場ではこれまでにない新しいリスクが生まれています。


「Create」から「Verify」へ


AI時代における最大の変化は、開発者の役割です。開発者の主軸は、以下のようにシフトしています。

  • 以前:作る人(Builder)
  • 現在:検証する人(Verifier)

重要なのは、「誰(あるいはAI)が書いたコードか」ではなく、以下の点を継続的に確認することです。

  • 顧客の要件を満たしているか
  • 将来的に保守可能な設計になっているか
  • ビジネスロジックとして正しく機能するか

言い換えれば、これからの品質管理は「できあがったものをチェックする活動」ではなく、「品質をあらかじめ設計し、妥当性を検証し続ける活動」へと進化しています。


なぜ従来型QAだけでは不十分なのか


AI活用が進むほど、従来の「最後にテストする」モデルには限界が生じます。理由はシンプルです。AIによって開発速度が上がるほど、問題が発生・波及するスピードも上がるからです。


もし品質確認がリリース直前に集中している場合、以下のような悪循環に陥ります。

  • バグの発見が遅れ、修正が困難になる
  • 大幅な手戻りコストが発生する
  • プロジェクト全体のスケジュールが遅延する

そのため、現在求められているのは以下の要素です。
✅ 開発工程のあらゆる段階での継続的検証
✅ 多角的な視点によるレビュー
✅ 認識ギャップの早期検知


品質問題の本当の原因


多くの企業が品質問題を「技術力」の不足と考えがちですが、実際にはそうではありません。実務プロジェクトで発生する問題の多くは、以下のような「認識の差」から生まれます。

  • 要件理解のズレ
  • コミュニケーションの不足
  • 判断基準の不一致

特にオフショア開発や分散開発では、この傾向が顕著になります。つまり、AI時代の品質管理とは単なる技術チェックではなく、「関係者間の理解の一致」を保証する仕組みでもあるのです。


AI時代に求められる品質管理の3要素


これからの品質管理を成立させるには、次の3つの視点が必要です。

  1. 技術的検証:コード品質やセキュリティ、パフォーマンスの確認。
  2. プロセス検証:開発工程がルール通り適切に実行されているかの確認。
  3. ビジネス検証:仕様や業務意図が正しくアウトプットに反映されているかの確認。

これら3つが揃って初めて、AI時代のスピード感に見合った品質が担保されます。


RIKAIが考える品質管理の方向性


RIKAIでは、品質を「最後に検査して修正するもの」とは考えていません。開発プロセスそのものの中に、継続的に検証が行われる「仕組み」を組み込むことが不可欠だと考えています。


AI活用が当たり前になるこれからの時代、品質管理は単なるコストではなく、企業の競争力そのものになります。


まとめ


AIの登場によって、システム開発はより速く、より柔軟になりました。しかし同時に、「正しさを見極める力」「多視点での検証」「継続的な品質確認」の重要性はこれまで以上に高まっています。
AI時代の開発において成功する企業は、「作れる企業」ではなく、「正しく検証できる企業」になるでしょう。


AI時代に対応した開発体制をご検討中ですか?


RIKAIでは、AI活用開発に最適化した品質管理モデルをご提案しています。
オフショア開発の品質改善
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はじめに:AIが鑑定士の隣に立つ時代へ


「これは本物ですか?」


高級ブランド品を扱う中古品店では、毎日何十回も繰り返されるこの問いが、業界全体の課題と直結しています。RolexやLouis Vuittonといったブランドの偽造品は近年ますます精巧になり、ベテラン鑑定士でさえ見極めに時間を要するケースが増えています。


RIKAIは、この課題にAIで挑みました。本記事では、私たちが開発した高級ブランド品向けAI真贋判定システムの技術的アプローチと、開発過程で学んだ「現場で使えるAIをつくるための本質」をお伝えします。


1. なぜ「画像AI」が真贋判定に有効なのか


真贋判定の核心は、本物と偽物の差異を正確に検出することです。高級ブランド品には、ロゴの縫製パターン、金属パーツの光沢・刻印の深さ、文字フォントのわずかなズレなど、肉眼では気づきにくいが確実に存在する差異があります。


人間の目は疲労や経験値によって判断が揺れますが、AIは同一の判定基準を何千回でも一貫して適用できます。特に深層学習(ディープラーニング)を活用した画像認識AIは、人間が言語化しにくい「質感」「微細なパターン」をピクセル単位で学習・比較することができ、真贋判定との親和性が非常に高い技術です。


私たちが採用したのは、Convolutional Neural Network(CNN)をベースとした画像分類モデルです。学習データとして、本物・偽物それぞれの高解像度画像を大量に収集し、モデルに「正規品の特徴パターン」を学習させました。


2. 最大の壁は「アルゴリズム」ではなく「データ品質」だった


開発を始めた当初、私たちが直面した最大の課題は予想外のものでした。


アルゴリズムの設計ではなく、データの品質問題です。


実店舗から収集した商品画像には、以下のような深刻なばらつきがありました。

 

  • 照明条件の差異:蛍光灯・自然光・スポットライトなど店舗ごとに異なる光環境
  • 撮影角度の不統一:担当者によって正面・斜め・クローズアップがバラバラ
  • 画像解像度の格差:高性能カメラとスマートフォンが混在
  • 背景ノイズ:カウンターや棚が写り込んだ画像が多数

このような「汚いデータ」をそのままモデルに学習させると、AIは商品の特徴ではなく背景や光の反射パターンを学習してしまいます。開発初期の判定精度が50〜60%程度に留まっていた最大の原因がこれでした。


3. データ品質改善のための「現場との共同プロセス」


この問題を解決するために、私たちは純粋な技術的アプローチだけでなく、顧客・現場スタッフとの協働プロセスを構築しました。


具体的には以下の取り組みを実施しました。

 

  1.  撮影ガイドラインの共同策定 現場スタッフと実際の店舗環境を確認しながら、ブランドごとの「標準撮影ルール」を設計。背景色・光源位置・撮影距離を統一するための簡易マニュアルを作成しました。
  2.  データクレンジングパイプラインの自動化 収集画像に対して、自動トリミング・明るさ正規化・背景除去などの前処理を施すパイプラインを構築。人手による品質チェックの負荷を大幅に削減しました。
  3.  データ拡張(Data Augmentation)の活用 同一商品に対して、回転・反転・色調変換などの処理を加えた疑似データを生成し、学習データの多様性を人工的に向上させました。これにより、照明条件や角度のばらつきに対するモデルの汎化性能が大幅に改善しました。

これらの取り組みにより、判定精度は段階的に向上し、最終的に約90%の精度を達成しました。


4. 「Human-in-the-Loop」── AIと人間が協働する設計思想


本システムの最も重要な設計思想のひとつが、AIに最終判断をさせないという考え方です。


私たちは開発の途中で、「AIで鑑定士を代替する」という当初の発想を根本から見直しました。どれだけ精度を上げても、AIが100%の確信を持って判断できないケースは必ず存在します。特に偽造品は進化し続けるため、学習データに存在しない新手口には対応が遅れるリスクがあります。


そこで採用したのがHuman-in-the-Loop(HITL)モデルです。


システムは判定結果とともに信頼度スコア(Confidence Score)を出力します。

 

  • 信頼度 90%以上 → 「正規品」または「要注意品」として自動判定
  • 信頼度 70〜89% → 「参考判定」として鑑定士に提示、最終確認を推奨
  • 信頼度 70%未満 → 「判定困難」として鑑定士へエスカレーション

この設計により、AIは「高確信度の案件を高速処理する」役割に特化し、人間は「難易度の高い判断・最終承認」に集中できるようになりました。結果として、1日あたりの処理件数が約4〜5倍に向上しながら、判定品質の維持も実現できました。


5. 継続学習(アクティブラーニング)で「育ち続けるAI」へ


AIシステムにとって、リリースは「完成」ではなく「スタート」です。


現場での運用データは、最も価値のある学習リソースです。RIKAIのシステムでは、鑑定士が「AIの判定に同意した件」「判定を覆した件」のデータをフィードバックとして蓄積し、月次でモデルの再学習を実施するアクティブラーニングサイクルを構築しています。


これにより、新たな偽造手口や未対応ブランドへの対応速度が向上し続けており、導入後もシステムが自律的に成長する仕組みを実現しています。


おわりに:「使えるAI」をつくるために大切なこと


今回のプロジェクトを通じて、私たちが最も強く実感したことは一つです。


AIの価値は、技術の高度さではなく「現場に根ざした設計」から生まれる。


データ品質の改善も、HITL設計も、アクティブラーニングも、すべては「現場で実際に動くシステム」を作るための手段でした。AI開発は、研究室ではなく現場で完成するプロセスです。


RIKAIは今後も、製造業・リテール・流通など幅広い業界の現場課題に寄り添いながら、「技術のためのAI」ではな「人のためのAI」の開発を推進してまいります。

本システムの導入検討・技術的なご相談は、お気軽にお問い合わせください。 👉 お問い合わせはこちら

執筆:RIKAI株式会社 AI開発部門 Phan Duc Tay 


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執筆:ドアン・ハイ・バン(RIKAI Technology CEO)


序論:同時に進行する、2つの相反する潮流


テクノロジー業界のニュースに目を向けると、一見矛盾しているように見える2つの大きな流れに気づくはずです。


一つは、Meta、Amazon、Microsoft、Googleといったテック巨人が、数万人規模の人員削減を相次いで発表しているというニュースです。2023年から続くこの「レイオフの波」は現在も加速しており、AIの台頭がその直接的な要因の一つとなっています。


その一方で、世界全体のアウトソーシングおよびITサービス契約は過去最高を更新し続けています。ISG Indexの2025年第2四半期のデータによると、アウトソーシングの年間契約額(ACV)は四半期だけで292億ドルに達し、前年同期比で17%増加しました。

 

特に米州地域では155億ドルと過去最高を記録し、前年比で26%もの成長を見せています。
この相反する状況の裏では、一体何が起きているのでしょうか。


二極化する影響:すべての企業が同じではない


その答えは、「誰がAIの影響を受け、誰がAIの恩恵を享受しているのか」という点にあります。
ビッグテック企業から業務を受託しているオフショア企業は、現在、非常に強い圧力にさらされています。顧客であるビッグテック自身がAIを導入してコード生成、ドキュメント作成、テスト自動化を行い、運用コストを削減しているからです。AIで代替可能な業務の外注需要が減少するのは、当然の結果といえます。


しかし、銀行、保険、製造、小売、医療といった「レガシー産業(非IT業界)」では、状況は全く異なります。これらの分野では、アウトソーシング需要は減るどころか、むしろ急増しています。


なぜなら、これらの企業にとってAIは「IT人材を置き換えるためのツール」ではなく、「デジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させるための競争圧力」だからです。顧客はすでに、競合他社が提供するスマートでパーソナライズされたサービスを体験しています。例えば、ある銀行がリアルタイム不正検知AIを導入していなければ、顧客はより安全で便利な他行へと流れてしまうでしょう。自社内に十分なAIエンジニアを抱えていないこれらの企業は、必然的に外部のITサービス企業やオフショア企業を頼ることになるのです。


数字が示す、レガシー産業によるAI投資の加速


この潮流の規模を理解するために、いくつかのデータを見てみましょう。

  • 市場予測: IDCによると、世界のAI支出は2028年に6,320億ドルに達し、2024年の2,350億ドルから約3倍に増加すると予測されています(年平均成長率 CAGR:約29%)。
  • 生成AIの台頭: 特に生成AIへの支出は、現在はAI全体の17.2%ですが、2028年には32%に達し、5年間のCAGRは60%に及ぶ見込みです。
  • IT支出全体: Gartnerは、2025年の世界IT支出が2024年比で9.8%増の5.61兆ドルに達すると予測しています。
  • コンサル需要: AIのコンサルティングおよびサポートサービス市場は、2030年にかけて31.6%のCAGRで拡大すると予測されています(Yahoo Finance)。

これらの巨額の資金は、シリコンバレーから出ているわけではありません。銀行、工場、保険会社などが、AIエージェントによる自動審査や業務効率化を求めて投資しているのです。


なぜ今、オフショアが必要なのか?――「人材不足」と「高コスト」の二重苦

 


あまり公には語られませんが、AIの専門チームを内製化することは極めて困難であり、莫大なコストがかかります。


米国や日本市場において、経験豊富なAIエンジニアの給与は、オフショアの同等レベルの人材と比較して5〜10倍に達することもあります。また、Gartnerは、2030年までに企業の半数が、急速な自動化と人材マネジメントの欠如により、重要な職種において「回復不能なスキル不足」に直面すると警告しています。2026年の調査では、世界のAI人材の需給バランスは3.2対1(3.2件の求人に対して候補者は1人)に達するとされています。


その結果、多くの企業はリスクの高い内製化に固執する代わりに、ITサービス企業へ委託し、AIのPoC(概念実証)を迅速に進める道を選んでいます。これは、確かな技術力を持つオフショア企業にとって、かつてないビジネスチャンスです。


「AIエージェント」の波:チャットボットの先へ

 


私たちが顧客から直接感じ取っているもう一つの大きなトレンドは、単なる「チャットボット」から、自ら行動する「AIエージェント」への移行です。


もはや「質問に答えるだけ」では不十分です。企業は今、保険申請の自動審査、会計証憑の自動照合、サポートチケットの自動分類・処理など、実務を完遂できるエージェントを求めています。


Salesforceの調査(2025年)によれば、ITリーダーの93%が今後2年以内にAIエージェントの導入を計画しています。また、McKinseyは、生成AIが世界経済にもたらす価値の75%が、カスタマーサービス、マーケティング、ソフトウェア開発、R&Dの4分野に集中すると試算しています。


AIが解消する「オフショアの壁」:新たな優位性


AIは、オフショア開発が数十年にわたり抱えてきた本質的な課題――「コミュニケーションの齟齬」を解決しつつあります。


これまで、委託側(顧客)と受託側(開発チーム)の間にズレが生じる最大の原因は、技術力不足ではなく、仕様の不備や言語・文化の壁による「解釈のズレ」でした。


LLM(大規模言語モデル)の登場により、要件定義書や設計書といった中間ドキュメントの作成は劇的に迅速かつ正確になりました。かつてプロジェクトコストの約12%を占めていた翻訳や解釈に伴う工数は、現在ではAIの結果を確認するだけで済むようになり、1%未満にまで削減されています。


これは構造的な変化です。「人員の数」はもはや絶対的な優位性ではありません。少人数でもAIを使いこなすチームが、AIを活用しない大規模なチームを凌駕する時代になったのです。


開発プロセスの変革:V字モデルから「即時検証」へ

 


長年、オフショア開発は「V字モデル」に基づき、各工程(要件定義、設計、実装、テスト)を厳格に切り分けて管理してきました。これは、人間によるミスを防ぐための多層的なチェック機能でした。


しかしAIの登場により、これらの工程は一体化しつつあります。要件が提示された瞬間に、AIと開発者の連携によってプロトタイプが生成され、即座にテストが可能になります。中間工程の承認を待つのではなく、成果物を直接見て検証することで、開発期間とコストを大幅に圧縮できるのです。


本質的なリスク:AI依存によるガバナンスの喪失


私が最も懸念しているのは、AIへの過度な依存です。


AI、特にLLMが生成するアウトプットは、一見すると非常に整合性が取れているように見えます。しかし、「形式的に正しい」ことは「業務ロジックとして正しい」ことを保証しません。ソフトウェア開発において、コードが動くことと、業務上の例外ケースを正しく処理できることは別問題です。


開発者がAIを過信し、アウトプットを精査する能力や習慣を失えば、潜在的なバグが製品に紛れ込み、気づかれないままリリースされてしまいます。金融や製造といったミッションクリティカルなシステムにおいて、これは致命的な事態を招きかねません。
「アウトプットの大半がAIによって生成される中で、いかに品質を担保し、評価するのか」。これこそが、ITサービス企業が直面している最大の課題です。


RIKAIの挑戦:生産ではなく「評価」に投資する


RIKAIでは、この変化に即座に対応しています。

 

  1. AI活用と研究: 1年前にAI専門チーム「X-Team」を立ち上げ、eKYC、画像診断、自動販売AIチャットボット、自動採点システムなど、多くの実用的なAIソリューションを提供しています。
  2. 内部統制の自動化: すべてのコードコミットをAIが自動レビューし、潜在的な不具合を検出するシステムを構築しました。プロジェクトの状況を10分ごとに更新し、異常があれば即座にマネージャーへ通知されます。
  3. QC(品質管理)チームへの重点投資: 私たちが現在、最も力を入れているのはQCチームの強化です。彼らの役割は「手動テスト」ではなく、AIが生成した成果物を多角的に「監視・検証・評価」することです。AIの関与が増えるほど、最終的な判断を下す「人間」としてのQCチームの重要性は高まります。

ビジョン:「生産型」から「監督・評価型」への転換


今後、ソフトウェア業界のアウトプットの多くはAIが担うようになるでしょう。その結果、「生産能力」そのものの価値は相対的に低下していきます。


どの企業もAIでコードを書けるようになる世界では、競争の軸は「いかに速く、多く作るか」ではなく、「そのアウトプットが正しいかを、いかに高い精度で評価できるか」に移ります。


企業は「生産型」から「監督・評価型」へとビジネスモデルを転換しなければなりません。

  • AIが見逃した微細な業務ロジックの誤りを誰が発見できるか。
  • ハルシネーション(AIの嘘)を見抜くための高度な品質管理プロセスを、誰が構築できるか。
  • AIの回答を鵜呑みにせず、深いドメイン知識(業務知識)を持って審査できるか。

これらの問いに答えられる企業こそが、今後3〜5年のオフショア業界で生き残る勝者になると確信しています。


結論:ゲームのルールは変わった


AIはオフショア業界の脅威ではありません。むしろ、DXを加速させたいレガシー産業にとって、これまでにない巨大な需要を生み出すエンジンです。


しかし、この波に乗るためには、「たくさん作る」ことではなく「正しくコントロールする」ことが付加価値の源泉であることを理解しなければなりません。


AIによる生産スピードは、いずれ誰もが手に入れられるコモディティ(一般化された技術)になります。しかし、その品質の完全性を担保する能力こそが、これからの希少価値となります。そして、それこそがお客様が対価を支払うべき本質的な価値なのです。


だからこそ、RIKAIは今、QCチームへの投資を最優先しています。


本記事は、オフショア開発およびAI活用分野における実務経験に基づく個人的な見解をまとめたものです。


参考資料:

 

  • IDC - Global AI & GenAI Spending Forecast 2024-2028
  • ISG Index Q2 2025 - Global & Americas Outsourcing ACV
  • Gartner - Worldwide IT Spending Forecast 2025 / AI Lock-In and Skill Shortage Risk
  • McKinsey - The Economic Potential of Generative AI
  • Salesforce/MuleSoft - Connectivity Benchmark Report 2025
  • Yahoo Finance - AI Consulting & Support Services Market 2024-2030

 

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■RIKAIについて


高い技術と高い品質で事業を成功させる。


RIKAIはソフトウェア開発を軸に、「人と技術を中心としたビジネス」を展開しています。お客様に寄り添うことで、お客様の「真のニーズ」を把握し、本当に価値のあるサービスを提供します。私たちは、お客様と長期的かつ信頼できるパートナーになることを目指しています。

🏢 商号:RIKAI株式会社
📅 設立:2017年11月15日
👤 代表者:代表取締役 ドアン・ハイ・バン
📍 所在地:〒160‐0023 東京都新宿区西新宿6-12-1 パークウエスト5階
👥 従業員数:300名

🛠️ 業務内容
・システム開発(業務システム、モバイルアプリ、インターネットサービスサイト、IoT・AIアプリ)
・システムマイグレーション
・システム保守・運用
・通信販売

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