その日は朝から妹が子供を連れて遊びに来ていた。


一日中大騒ぎで子供達と遊び、夕方になってからメールチェック。





・・・・2通のメールを受信しました・・・・





一つはゆうやで一つはとらちゃんだな って思いながらフォルダを開けてみる。






え??




2通ともゆうやからだ










朝 届いたメールから開けてみる。




「突然だけど・・・俺とメールで恋愛しませんか?」





はぁ??一体何事??





そして 夕方届いたメールを開けてみた




「返事が無いね・・やっぱりダメなんだ・・・もうこちらからはメールしません」等々





理香はしばらく考えた。





メールで恋愛??

文字だけで 愛してるよ とか 好き とか 甘い言葉を交し合ったりするわけ??

ちょっと理香の柄じゃないなって思った。



でも





ちょっとまって





ゆうやと私の家は、カナリ離れてる。









向こうも家族がいるわけだし、逢いに来るなんて事は考えられない。











だったら








メールだけだったら










別にいいんじゃないの???




ほんの少し、現実とは離れた「擬似恋愛」





結婚してから8年、恋愛っていう感情がすっかり抜けていた理香は、少しだけときめいた。








そして



「お返事 遅くなっちゃってごめんなさい。今日は妹が遊びに来ていたので、今メールチェックをしました。理香でよければお付き合いして下さい」


と 返事をした。



晩御飯を支度をし、再びメールチェックをしてみると ゆうやからのメールが届いていた。





5月のある日、理香はインターネットを繋いだ。


最初は何をしたら良いのか分からず、プロバイダのHPをウロウロ。

その中のコンテンツに

「コミュニケーション」と言うのを見つけた。


自分の紹介文をBBSに載せ、メールが届くといったモノ。


「お昼寝が大好きで草むしりが大嫌いな主婦です。」


軽い気持ちで書き込みをしてみた。




嫌いとはいえ、5月ともなると家の周りには雑草が生えてくる・・。

少しだけ草むしりをした後、先程書き込みをしたBBSが気になってメールチェック。


メールの受信中・・・・・・・・・・・・


少しだけドキドキしながら受信完了を待つ。


3通ほど男性からのメール。


すべてに返信し、また草むしりに取り掛かり、再びメールチェックという作業を繰り返していた。


今までに経験した事の無かった世界。

顔も知らない人と、文字での会話。


メールをくれた人 全員に返事を返したけど、だんだんと減って行き、最終的に2人のメル友が残った。


一人は、トラックの運転手の「とらちゃん」

もう一人は 工場務めの「ゆうや」


理香は初めてのネッ友が嬉しくて仕方なかった。

ランダムに届くメールを心待ちにし、朝 晩とメールチェック。


何日か経った頃、ゆうやから写真付きのメールが届いた。

当時 アナログで繋いでいた理香は、中々受信完了にならないので壊れたのかと思った・・。



思ったより若くて、ちょっとイケメン。


理香の写真も見たいって言われたけど、写真をパソコンに取り込む技を知らなかったので送れなかった。


そして


写真が届いてから数日後・・・・・






ゆうやから あるメールが届いた。



達也の仕事が休みの日。


学校から帰って来た麻子は子供向けの雑誌を読んでいてそこに紹介されているオモチャを欲しがった。

理香が止める間も無く、達也と麻子は車に乗ってデパートに行ってしまった。


随分時間が経ったけど、どうしたんだろう・


そう思って外に出てくると満足そうな顔の達也と不安そうな顔をした麻子が帰って来た。


「いやぁ~~~参った!人気商品とかで無くてさ、店員じゃ話にならないから店長脅したらあったぞ♪」



一体どういう事??



達也の話によると


売り切れだと言われた事に腹を立て、店員さんに散々怒鳴った挙句、店長さんが出てきたので


「つべこべ言わないで早く出せよ!あるんだろ??おぃ!子供が欲しがってるんだよ」


小指も無い。。刺青も背負っている。

理香も聞いた事あるけど、そういう時の達也の話し方は、ホントに迫力がある。


麻子も途中で怖くなったのか

「もぅ・・・いいから・・・帰ろう・・」

って言ったのに

「もう少しで出てくるから待っててね」

と声を掛け、また脅しに入る。


どうにもならなくなった店長さんは お取り置きのモノを出して来たらしい。

「あるんじゃねぇか」


それって、あるって言わないよね??

それを予約していた子供はどうするの??


目的物を手にした達也は、途端に上機嫌になりお金を払い店を出た。


「無い無いって言ってもな ちょっと脅せば出てくるもんなんだぜ」


自分のお手柄を、自慢気に話ている達也を見て絶句した。


もし、その場に麻子と同じ学校の子がいたら??

いや・・もしかしたら居たかもしれない・・。

麻子ちゃんと一緒に居た人誰??

お店で大騒ぎしてたでしょ??


あんな人と一緒に住んでいる麻子ちゃんとは遊んじゃダメ!


そんな事まで発展しちゃうかもしれないじゃない・・









達也は、そのお手柄を夕方帰って来た勇気にも話していた。



勇気はその後。。。


その、達也の行動を


理香の親に自慢していた・・。