前回のものがたりの続きです。
長らく続いたこの物語も終わりです。
旅人の長かった夢の旅はどうなるのでしょうか。
では続きをどうぞ。
傍で見守っていたらしい男が、旅人に声をかけた。
「いったな」
「ええ」
「お前は、これでよかったのか」
「仕方がありません」
「仕方がない、か……」
「それに、会えないわけではありません」
「夢はあらゆる人間たちの地続きの空間だからか」
「はい」
「ならば、いくか。もうこの夢はいずれ消える」
「ええ」
男の手には赤いリボンが握られている。
「受け取ってしまったからには、俺は次の夢まではお前と一緒に行かねばならない。あの子は、自分の消えた後のことまで、考えていた」
「はい。ルイはそういう子なんです」
「さっそくだが、夢の先はこの赤いリボンに縁のあるもの、なのだろうか」
「そうかもしれませんし、そうじゃないかもしれません」
屋台を引き立てて男は歩く。その隣に旅人もまた歩く。涙を流しながら。
「……ぼく、泣けたんですね。初めて知りました」
「そうか」
「元は物だったのに、おかしな話です」
「夢だからな」
「ひょっとして、あなたはぼくと似たような存在なんじゃないですか」
男は無言で、ちらりと旅人を見た。
「かつては誰かの夢で、それが一人歩きした結果の、産物なんじゃないかって」
「だったら、どうする? もし俺が、お前の未来の、成れの果ての姿だったとしたら?」
「……それはないんじゃないかと」
「おい」
「ぼくはぼくで、あなたはあなただから……。それじゃ、逆に聞きます。あなたがぼくの成れの果てなのだとしたら、会いたい人には会えましたか?」
「……微妙だな」
「いかに変な質問なのか、わかっていただけましたか?」
「ああ」
次の夢はいずこか――。旅人の旅は続いていく。
〈あとがき〉
ここまでお読みいただきありがとうございました。
夢を渡る不思議な旅人は、これまで、色んな人の
夢を歩いてきました。
夢だから、奇妙で、不思議で、何でもありなこの作品を、
楽しみながら書いていました。
ひとまず、物語は終わりますが、旅人の旅はこれからも続きます。
ファンタジックな話が好きで、これからも、色々と書いて行けたらなと思います。
