(なにもないのがいいんだよ)
そう言ってわたしたちは旅にでようとした
都会で育った
物がありふれていた
たくさんのなかから選ぶことは
少なくともわたしには大変なことだった
たくさんのことをこなすことも
辛いことだった
いつしか、当たり前のなかで
当たり前と感じることが
どういったことなのか
確認したくなった
なんにもないって素晴らしいって認識した
限られたもののなかで
あるものでどうにかする行為は
自然と人に優しいなあ
ただ感じた
遠くへいってみたい
できるだけ遠く
行けるとこまでいってみたい
できれば、なにもないところ
不便がたくさんあるところ
みたことない景色が広がるところ
それを寂しいと言ってくれる友がいることに
嬉しさ、感じたよ
今の今まで、誰かにわかってもらおうって
思った事ないくらい、そんな事は叶わないことだと
到底無理な事だと、いわゆる承認欲求はなるべく
捨ててきた
ただ受け止めるって行為や気持ちって
とても難しい事
それができる人が優れているとかじゃなくて
私がずっとしてほしいこと
私がずっとしてあげたいこと
結婚した
離婚もした
子供も産んだ
痛みを感じて
痛みへの恐怖心や生きることへの執着が生まれた
死ぬほど痛い目にあったら、痛いとも言えないこと
経験した
そう経験するまで、その人の気持ちには共感は
できないってこと経験から学べた
枠に囚われず生きてきた
結婚して、名前が変わったときに
とても違和感を感じた
うまく生きてこなかった自分を
いまはただ受け止めてあげれる
かつて愛する人と神様の前で誓った
(病める時も健やかなる時も愛を誓う
死が2人を別つまで)
彼と知り合って実に20年に近い年月が流れた
少年少女から男性女性となり
そして父と母になった
それは周りからみた私たち
私たちは実際のところ、子供のままだった
子供のようにあり続ける私たちがいた
彼は息子よりも私を愛していると
いつも念じるかのように
言い続けていた
そして、死が2人を引き裂けない事もわかった
私はこの先、彼といなくても
彼は家族だし、愛する人だし、形にはめずにきた
関係を、心から誇らしいと胸をはれる
息子にいずれ、自分のルーツを訊かれたとき
心穏やかにはなせるかなぁ
彼と彼のおばあちゃんのお墓参りにいった昔、
彼は少し寂しそうに言った
(おばあちゃんはここにいない)
おばあちゃんはいつもいつでも彼の胸の中にいる
あなたの存在はいつまでも私の胸のなかと
息子の記憶のなかに残る
たくさん傷つくこともあるけれど
人を愛し愛されるって
素晴らしく癒されて
暖かく胸いっぱいになる
また愛し合ってみたいなあ
いつか巡りあうのかなあ
