現在私のクラスで学習を進めている国語科『すがたをかえる大豆』より、この1週間で自分なりに考え深めたことを記したいと思います。
『すがたをかえる大豆』は、ダイズやイネの研究をしている農学者の国分牧衛氏による文章ですが、内容としては難しい内容ではなく、大豆を題材とした典型的な解説文といっていいと思います。なので、子どもたちの文章理解もけっこうスムーズにいっています。前期に学習した『イルカのねむり方』、また世界的な昆虫学者、科学者として知られるアメリカのウィルソン博士が登場する『ありの行列』(この作品は、けっこう覚えのある方多いのではないでしょうか?私の小学校時代にも教科書にありましたから)は、文章理解にけっこう時間がかかりました。なので、今回の『すがたとかえる大豆』では、文章をていねいに読み込んで内容を理解するといった形態の学習ではなく、もっと違った学習方法で行こうと思っていました。はてさてどうするか…。
そこで思い至ったのが、『すがたをかえる大豆』の読み取りを通して、子どもたちに先人たちの知恵について理解を深めてもらおうというものです。
この文章で展開される内容としては、大豆が様々な工夫や手立てによって、いろいろな食品にすがたを変え、私たち日本人の食生活を大きく占めているということです。文章の中では、煮豆、きな粉、豆腐、納豆、みそ、しょうゆ、枝豆、もやしなどが登場します。どの食品も、私たち日本人にとってなじみ深いものばかりですが、それぞれの食品は、先人たちが考案した様々な工夫、手立てによって誕生しています。子どもたちには、それぞれの工夫と手立てについて知ってもらい、その上で、①先人たちがなぜそのような工夫や手立てを考案して大豆のすがたを変えたのか、そして②それによって得たメリットとはなんであったのかということを、子どもたちなりに考えることができたらと思います。
①に対する回答を私なりにするなら、「人はよく生きようとしているから」ということになると思います。
どういうことかというと、単純に考えれば、先人たちが大豆をきな粉にしたり、豆腐にしたり変化させたことは、彼らにとって何か「よいこと」があるからだという他ありません。申し訳なくも勉強不足で、きな粉や豆腐の起源といったものにはまったく触れていないのですが、意識的にせよ偶然ひき起こったことにせよ、現代にいまだ人々の食生活を支えているものですから、人々にとって何かしらの「よさ」があるに違いありません。先人達が大豆をあらゆる姿に変化させてきたのは、その行為自体に彼らにとって何らかの「よいこと」「よさ」があったからこそであり、それは人々が「よいこと」「よさ」というものを希求する存在であるということの証左でもあると思います。それが、①の命題に対する、「人はよく生きようとしているから」という私なりの回答に結びつくのです。子どもたちに対しては、「人がよさを求める」からこそ、大豆を変える技術であったり知恵であったりが生まれるのであるということを投げかけ、彼らに先人たちの知恵や技術の起源ともいうべき、人間の心や思いということを考えてもらえたらと思います。
②に対してはどうなるかというと、まさに①の回答について説明したことをふまえれば、「では、先人たちが感じたり思ったりした『よさ』とは具体的にはなんであったのか」ということになると思います。私なりにまとめて言えば、それは「価値の創造」といえます。意識的にせよ無意識的にせよ、人々は価値を創造するという「よさ」に惹かれて、大豆をあらゆる食品に変化させたのではないかと思うのです。
価値の創造という言葉は、最近巷でもめずらしくない言葉であると私は認識していますが、私の知る限り、もともとは日本の教育者である牧口常三郎先生の言葉であろうと思います。一言で説明できる概念ではありませんが、ここでは「以前よりも価値が上がる」ということで理解を共有してもらえたらと思います。
さて、話を戻しますが、今回の題材と価値の創造がどう関係しているのかというと、そんなに難しいことではありません。つまり、大豆がきな粉や豆腐やみそ、しょうゆに変化したことで、私たち人間にどのような価値の向上がみられたのかということです。
私なりに思いつくのは、たとえば、大豆を煮豆にすることで消化がよくなるということであったり、みそやしょうゆにすることで長期にわたって保存がきくようになったこと、また枝豆として食べることで、大豆そのままよりも栄養が豊かに摂取できる(らしい笑)といったことです。他にも味のバリエーションが増えたり、他の食材と組み合わせることで多彩な料理を生み出すことになったり(ここまでくると芸術の領域ですね!)と様々に価値の創造がみられます。
子どもたちに対しても、こういった価値の創造という人間の文化的な営みがあってこそ、大豆が様々にすがたを変え、今もなお私たちの食生活を支えているということに気付かせたいと思っています。
この学習を終えて、子どもたちが大豆を食する時、以前よりもちがった気持ちや思いにかられてくれると、私の今回の教育実践も何かの意味があったということができるのではないかと思います。
まあ…うまくいくかはわかりませんが…笑 勝負心豊かに、今週頑張っていきたいと思います★
