- 前ページ
- 次ページ
「おや?御嬢さん、君は今まで知らなかったのかい?」
彩華の頭に疑問符が浮かぶ
「この図書館はね 誰でも入れるって訳じゃないんだよ」
「・・・?」
「はぁ・・・ そんな事も知らねぇのか」
ラタはあきれた様に言った
彩華はイラっとして文句を言おうとしたが、グッとこらえて続きを大人しく聞くことにした
「あのなぁ・・・ お前の手に持ってる本を見てみろよ・・・」
先ほど本屋で買った本は気付くと手にしっかりと握られていた
少しためらいながらも本を開いた
「何も書いてなかったはずなのに・・・」
「君がその本に、いやその本に宿る妖精に選ばれたんだ だからここに来れたんだよ」
「ようせい・・・?」
「残念ながら その妖精は行方不明になってしまっているけどね」
目に悲しみの色を浮かべ、囁くように言った
「まぁその妖精を探せって事だよ ったく言わなきゃわかんねぇのかよ」
「それと段々とこの本の世界がおかしくなってきているんだ」
「だからこの世界を調べろって事 だから手始めに「灰かぶり姫」・・・ つまり「シンデレラ」を調べてこい」
「ラタさん・・・その命令口調やめてくれないかな?」
ラタは笑顔で首を横に振った
「まぁラタはこんな性格だから・・・ 気にしないでやって、照れてこうなってるだけだから」
「おいテメェ・・・」
「ラタ怖~い」
「おい・・・ ふざけんじゃねぇ・・・」
「えっと どうやって調べればいいのカナ?」
彩華の笑顔に少し怒りの色が混じっている
「あ・・・ えっと・・・」
「ホントお前は説明がヘタだな・・・ 俺が代わりに説明してやる」
「うん お願い」
「シンデレラの本に触れながら自分がその中に吸い込まれるのを目を閉じて強くイメージするだけだ」
言われた通りに本に触れ強くイメージする
自分の体がふわりと浮きあがるような不思議な感覚を覚えた
目を開けるとそこには先ほどとは違う風景が目の前に広がっていた・・・
「ここ・・・ 図書館・・・?自分の部屋に居たはずなのに・・・」
周りを見渡しても本、本、本と、本ばかりで他には何もないように思えた
立ち止まっていたってしょうがないと、彩華は辺りを探索する事にした
一通り本を見た後1冊の本が彩華の足を止めた
「灰かぶり姫・・・?」
「ああ それはシンデレラの事だよ」
後ろから突然話しかけられ、うろたえてしまった
「誰!?」
「あ 驚かせてしまった様だね 僕はこの図書館を管理している者だよ」
少し微笑みながら図書室の管理人という男は言った
「おい!俺を忘れるんじゃねぇよ!」
足元から大きな声が響いた
足元を恐る恐る見やるとそこには服を着たうさぎがちょこんと座っていた
「コラ!御嬢さんがこわがってるでしょ!」
口を尖らせて男は言った
「はいはい わかったよ 大人しくしてりゃいいんだろ」
足元のうさぎも口を尖らせて言う
様子を見ていて耐え切れず笑ってしまった
「あ ちょっ 笑うんじゃねぇよ」
「はぁ・・・ この言葉づかいなんとかならないのかな・・・」
彩華は再び笑ってしまう
「笑うなっつってんのに」
「あはは ラタ顔真っ赤だ~」
どうやらこのうさぎは「ラタ」というようだ
「うるっせ つかこの娘に早く事情を説明してやれよ!」
「うん そうだね そろそろ話しても大丈夫かなぁ」
「・・・え?」
何の事?という目でリファは2人・・・ ではなく1人と1匹を見つめた