うっかり前書き忘れ (((´・ω・`)カックン…
そのまま晒したらダメだろう自分・・・
ということで、うっかり見ちゃった人は気づかなかったことにしてください(-_-;)
身内向け小話
なんちゃってファンタジー設定恋愛もの連作その1
ヒロイン視点
これは、秘密の恋。
くすくすと小さく笑みを浮かべながら、少女はゆっくりと庭園を進む。ふわふわと揺れる薄絹の裾は、本来ならばくるぶしまで覆うほど長いものだったが、盛大にたくし上げている今は小さな膝が垣間見えるほどに短い。
弾むような足取りで、けれど決して急ぐようなことはせず、少女は目的の場所を目指す。そこは彼の人と少女だけの、否、彼の人は少女が訪れていることに気づいてはいないから、少女だけの秘密の場所。
おそらくは人を避けて辿り着いたのだろう庭園の奥まった東屋に佇む彼の人を、こっそりと見つめることのできる大樹の上。本来であれば年頃である少女が木に登るなどもってのほかなのだろうけれど、そもそも歩き辛いからといってスカートをたくし上げてしまうような少女がそのようなことを気にする筈もなく。
今日も今日とて鮮やかに樹上まで登ると、やってきた愛しい彼の人を見つめる。本来ならば勘の鋭い彼の人が少女の視線に気づかないということなど有り得ないのだろうけれど、ここに居る彼の人はとても安らいでいる状態だからか、それとも大樹に紛れてしまいそうなほどに少女の気配が自然なのか、どれほど熱い視線を注いでいても気づかれることなく今まで過ごしていた。
『きょうは、とてもつかれているみたい』
深いため息をつく彼の人に、少女は心配そうに眉をひそめる。彼の人がここに来るのはささくれ立った精神を落ち着かせるためなのだろうということは予想がつく。けれど、ここのところはそれほど彼の人を煩わせるようなことは無かった筈なのだが。
『あんまりおおきなこえだと、きづいてしまうけど』
少女は甘えるように肩や頭を宿り木代わりにしていた鳥達に視線を向け促すと、自身もゆっくりと唇を開いた。ささやくような、澄んだ音色が響きだす。人のものではないような、けれど鳥の歌声だけでは表せない不思議な響きの旋律が木々の中を巡り東屋へと流れていく。
歌声に混ぜられた癒しの力は、ほんのわずかなものでしかないから、森林浴で癒された程度にしか感じないだろうけれど、確かに彼の人の疲れを癒していく。
何よりも、少女が歌に込めるのは彼の人への恋情。いとしい、愛しいと奏でられる音色は、彼の人のためだけに。
『だいすき』
癒しの歌に包まれて、彼の人がもう一度ついた息は心地よい満足げなもの。少女も嬉しそうに微笑むと、最後にそっとつぶやく。愛のことばは風に紛れて、彼の人まではきっと届かないけれど。
ほんのわずかな時間を過ごして、彼の人は仕事に戻っていく。忙しい中を縫うようにして毎日必ず訪れる彼の人を見送って、少女も抜け出して来た自身の居るべき場所に戻る。望んでそこに居るわけではないけれど、彼の人がここに訪れる先触れがわかるのは良いことだったから。
真白い薄絹を翻して、少女は神殿へと戻る。信じてもいない神に祈るために。
神以外を愛することを許されない巫女である少女は、彼の人を想うことができない。けれど、ここで愛を歌うのはチェレスティアという名のただの少女だから。
大樹に隠されて、少女はひそやかに愛のことばを歌い続ける。
END
