〜少年の初期衝動〜
２８、誕生日
「ねぇ、お姉さん。」
なぁに？
「お姉さんの誕生日はいつ？」
誕生日？
えーっと、えーっと、、、
忘れちゃったなぁー😊
「忘れちゃったの？！！！」
うーんと、いつだったかなぁー？
「本当に忘れちゃったの？
どーして？」
だって、
誰からも祝ってもらった事が
無いから、いつもと同じ毎日
が続いてて、
誰からも「おめでとう！」
とかも言われないし、
ケーキも食べないし、、、（涙）
「えーー！！！お姉さんも？
ボクと同じだーーー！！！
お姉さんは、
なんでもボクと同じなんだ！」
えー！？ ボクもそうなの？
私達似てるねー！
「うん！本当に似てるね！」
あっ、思い出した！
１２日だ！！！
えーーー！
お姉さんは１２日生まれなの？
「ボクは１３日生まれだよ！」
「じゃあ、
多分、お姉さんもボクと同じ
１２月生まれなんだと思うよ！」
え！１２月？
１２月は冬だよね！
じゃあ、私は違う気がする。
私は秋に生まれた気がする。
あっ！社員証を見れば解るかも、
ちょっと待ってて、、、。
解った、解った、
私は１０月１２日生まれだわ！
「あれ？１２月じゃないのに、
どーしてお姉さんの誕生日は
してもらえなかったんだろうね？
ボクの母さんは、
もうすぐクリスマスなんだから
１ｹ月に２度もケーキを作って
食べて誕生日をする必要は
無いんだ！って言うの。
で、一緒で良いじゃないか！
って事で、
ボクの誕生日会はクリスマスに
延期されて、なのにプレゼントは
サンタさんからのプレゼントだけで、ボクの誕生日を祝う事もなく、プレゼントもくれないんだ！！！
ずるいよ！アイツは３月だから、
母さんはちゃんと仕事も休んで
朝からご馳走を作って、
ケーキも焼いて
誕生日プレゼントももらえて、
アイツったら王様気取りで
ずるいんだよ！！！」
（ぷんぷん！！！）
アイツって？
「弟の事だよ。」
そうかー、
弟さんの誕生日はしてるのかー。
それはズルイよね！
私だって同じだよ！
妹の誕生日（９月）も
弟の誕生日（６月）も
母は早く帰って来て、
ご馳走を作ってケーキを
買ってきてプレゼントも用意して、
友達も招待してにぎやかに
楽しく誕生日会をするんだよー！
で、その日は私にも
「お手伝いしなさい！」
って母が言うの！
「普段、いつも夜遅くて
淋しい思いをさせてるから、
誕生日の日だけでも好きな物を
作ってあげたいのよねー！」
って嬉しそうに言う母なんだけど、
私の誕生日会もしてくれないのに、どーして手伝わなきゃいけないんだ！って思って、
ソレが終わるまで公園に
行っちゃう事にしてたの。
本当にズルイよね！
妹も弟も主役になって嬉しそうに
している姿を見ているのは
とても辛くて、その場に居る
だけで涙が出てきちゃうんだもん。だから見ない方が良いの。
見ないで公園で遊んでいる方が
気が紛れるもん！
だからボクの気持ちは
痛いほど解るよ！
「お姉さん、ありがとう。
ボクの気持ちを解ってくれて
嬉しいよ！
それにしても１２月じゃないのに、どーしてお姉さんは誕生日会を
してもらえなかったんだろうね？」
うん、どーやら昔、
仏教を日本に広めた「日蓮聖人」
様がお亡くなりになった日
なんだってー！
その日は秋なのに、
桜の花が咲きご遺体を沢山の
参列者が囲んで大行列が出来
たんだそうだよ。
で、ＲＫＫでは「お会式」
と呼んでいてお祭りを
するんだって、
鐘や太鼓や笛や纏や万灯で
行列を作って、うねり歩くんだ
そうなの。
中野富士見町駅からＲＫＫの
本部まで、うねり歩いてお祭り
をするそうなの。
池上駅の池上本門寺でも
毎年１０月１２日にお会式
をしているんだよ。
で、母はその準備でその日は
朝早くから夜遅くまでお手伝い
をしているから、
私の誕生日会は出来ないんだって！
だったら、
前日でもその後でも他の日に
変りにやってくれても良いのに
ーーー！！！（涙）
でもね、そのうち私もそのお会式
に鐘や太鼓や笛で参加するよう
になって、大勢の人が
私の誕生日を祝ってくれている
んだわー！って思うようにしたの。
「そうだったんだー。
お姉さんのお誕生日はお祭りの
日だったんだね。」
うん。
そうだ！
ボクは何のケーキが好きなの？
「ボクはイチゴが白いクリーム
の上に乗っているケーキが
好きだよ！」
あら、
それはショートケーキだね！
ボクはいちごが好きなんだね！
「うん！！！（笑顔）
お姉さんは？」
私はアップルパイが好きなの！！！（笑顔）
