枕飯さんの準備
まずは白喪服になり足に足袋は履かない。早めの昼食を近所の手伝ってくれている方に勧められたが 汚すことが怖くて食べれない(本当に全てが真っ白)。
控え室には続々と遠方の親族も集まり落ち着く場所がない。

式が始まると僕と一緒にいることができないので遊んでやりたいが動けない。

係りの人に席に着くよう案内された。

葬儀が始まる。
御導師さんが席に着き読経が始まる。
座り焼香し弔電披露 亡き義父の今までの歩みを司会者が語り、喪主の挨拶。

義父の残した原稿用紙を一字一句ゆっくりと読み進め義父が自分で残したものであることを参列者に披露し皆が涙

旦那ってこんなにスピーチうまかったっけ??

お別れの儀
棺に花を手向け、様々なお寺のお札も納められた。僕を呼んでもらい花を手向け さっきまで遊んでいた紙飛行機も入れた。

役目のある人はその間に藁草履に履き替える。
枕飯さんはその上 「かつぎき」と呼ばれる被り物をしてそこからは振り向かない。喋らないのが鉄則になる。
(幽霊がしている)三角のを役目の方全員が頭に付け役目のあるものをそれぞれ持つ。
いろいろ書かれてある六角の棒だったり、香炉や遺影 枕飯さんはお団子の乗った四角い板とカラフルな杖のような案内棒
花を手向け終わると「釘打ち」
棺の四隅を釘で一人2回石で打ち付けて行く。(あたしはこれが一番嫌い)
うち終えた役目の人は係りの人の誘導で移動、その時には係りの人によって最後まで釘が打ち込まれる。
その音は決して戻ることが出来ないことを思い知らされる音になる。

枕飯さんは振り向かない、喋らないで役目の方と列を作り歩き出す。そのまま枕飯さんだけが先に霊柩車に乗る。喪主・役目の方は参列者一礼して霊柩車マイクロバスに乗り込み出棺。出棺と同時に故人の愛用していた茶碗(枕飯のはいっていたもの)が地面に叩きつけられて割られる。
菩提寺に寄り、喪主が鐘をならして火葬場へ。
枕飯さんの乗っているのは棺横で周りはカーテンや幕がかかってあり外が見えない状況
火葬場に到着し再度列を作る。御導師さんを先頭に火葬場内を3周まわり枕飯さんが最初にお焼香し故人の顔を見て喋らない・振り向かないで迎えの車に乗り、違う道を通って式場に帰り他の人は順にお焼香し喪主が火入れをする。

あたしは式場について着替えたとたんに疲れが・・
30分ほどしてみんなが火葬場から戻ってきた。
1時間ほどして再度御骨あげに行くとのこと
僕はみんなが帰って来て安心したのかお昼寝した。30分ほどして起きるのだが今日はずっと寝た。あたしは僕が寝てるのでお骨あげにはいかず会場で待つことにした。(気づいたらあたしも寝てた)

皆が帰って来て初七日法要を済ませて帰路についた。
遺骨になった義父を祭壇に祀り
静かな空気が流れた

「ついこの前までここでねてたのにね・・・」





夜は僕がいると言うことで実家で寝た。よっぽど疲れてたのか僕は実家を出る直前まで寝ていた。

式場に着いて
ゆっくりしながらも打ち合わせして準備がある。
島での葬儀は2度ほど見たことはあったが2度とも違っていた。地区でも違うらしい。
葬儀の説明を受けながら段取りを覚える。聞きなれない言葉や役目がある。
通夜もそうだったがお焼香を親族は式の途中に行い(座ったまま)一般は来訪したらまずお焼香(立てって親族席の後ろにある焼香台で)行ってから席のつく。
親族には血の濃い人からお役目があり名前がつけられる。
あたしは「枕飯さん」と呼ばれる。式の段取りよりも皆が気にしていたのは僕の行動。式の間静かできるか。
親戚の方と主人の友達が来てくれて見てもらえることになった。


朝食を食べて 家族団欒していたら
葬儀後の自宅で遺骨などを四十九日まで祀る祭壇を創りに業者がやって来た。その際義父の寝ている布団の上に1本の箒が置かれた。「掃き出す」という意味らしい。その後も弔問客がやってくる。

そうこうしているとお寺さんがお経を唱えにやって来た。
病人から故人になる意味?のあるお経らしい。

昼食を食べて 自宅を出る時間になった。自宅に棺桶が入らないため親族で担ぎ移動用の霊柩車へ
近所の人が見守る中式場へ向かう。
途中 お大師さん 職場 お世話になった場所を巡り式場へ

控え室に入り 納棺の儀
病院から自宅へ帰る際に義母が着させた真新しい浴衣
その上から白装束に身を包む 病院でエンジェルケアはしているがやはり出るものは出る。
そんな中でも全く動かなく寝ている義父はやはり亡くなっていると言うことを納棺とともに思い知らされる。

死化粧をして黄疸の黄色が普通の顔色になった。

うちの僕はたくさんの親戚に興奮気味昼寝も30分しかしなかった。

夕方通夜の時間
異変を感じてうちの僕はさらに興奮して式場内をウロウロ
落ち着かせようと一緒に式場内をウロウロ 弔問の方の多さにびっくり
席が足りず隣部屋の椅子も出された。明日の葬儀、あたしは子供と一緒にいることができない。僕の好きそうなおもちゃを100均で物色
式場で遊んで見た。

控え室に戻り祭壇には朝早くから炊いた1合飯 1本の灯された線香とろうそくとおりん、棺が再度安置された。
1合飯は葬儀の時の故人のお弁当になるもの。
線香は死者の通る道
ろうそくは暗闇を照らす灯り
おりんは死者の行き先を知らせる音になる。
だから通夜が終わり葬儀まで絶やすことなく灯し、鳴らす事が大事と聞いたことがあった。


1日目の弔問も一段落し家族の時間になった頃
義母が何やら出して来た。

4枚の原稿用紙 1枚は主人に・・

義父が自分で書いた葬儀の時に喪主になる主人に託した喪主最後の挨拶文

残りの3枚は
1:重要書類・義父が気にしていることを残された家族に託す手紙
2:自分の兄弟・親戚・近所お世話になった方へのお礼文。
3:妻に対するありがとうの遺言
出逢って結婚して今までの時間を2人で過ごせたことに感謝し自分の気持ちを素直に記された遺言

病気のため寝られず不安になり何を書いているのかわからなくなるくらいに乱筆になりながら書いたものだった

今回の入院時でなく以前に大病した時の日付
去年末実家の整理を義母がしていた時に出て来たもの

家族で 読んで 涙の夜