先日の出来事です。

中学3年の息子が夕方、近所にあるいきつけの鍼灸院に行きました。

私は息子を車で送り診療中は近くで買い物をし、迎えに行くため鍼灸院に戻ったんですが、診療を終えた息子が『Aちゃんがいるよ』と。

 

Aちゃんは私の6歳年下の友人で、15年以上前に私が鍼灸院を紹介しました。高速を使うほどちょっと離れた場所に住んでいるのでここ1年半ほどは会っていませんが、たま~にこの鍼灸院に来るので、お互い時間が合えば会ったりしていました。

 

その日偶然にも、息子とAちゃんは同じ時間帯で治療を受けていたようです。

でもAちゃんも忙しかったので、私に連絡はせずそのまま帰るつもりでいたので、私は息子を車の中で待たせ、ちょっとだけ立ち話しました。

 

Aちゃんはこの夏に乳がんが見つかり、現在、抗がん剤治療中。そのことは前にLINEで話していたので知っていました。ウィッグをつけていたのですが、もう髪の毛もないようで。抗がん剤がかなり効いて癌が小さくなったので、その後手術する話や、そうはいっても体調が悪くて先週まではずっと寝ていたこと。でもまだ子供が小学生なので、頑張らなきゃ…そんな話をして別れました。

 

彼女と出会った時はお互い20代で、当時はもちろんお互い若くて元気で。でも今はこんな病気の話をして、でもお互いまだ育児があるから元気でいなきゃね…なんてこと言い合っている。いつの間にか年月は流れてて、まさか彼女の命の心配をする自分がいるなんて…と複雑な気持ちに包まれながら帰る道中、今度は息子の電話が鳴りました。

 

隣の県に住む友達からで、今、交通事故にあって、救急車の中からだと。

自転車に乗っていて車にはねられたようです。

息子が『病院名は!?』と聞いていて、その事故した友人が救急隊員に尋ねていて、〇〇病院と言うことがわかり息子はすぐさま携帯で場所をチェックし『わかった、今から行くわ』と返答。

 

私が『アンタが今行っても、どうにもならないんじゃないの?』と聞いたんですが

『アイツのあんな弱った声初めてだし心配。とりあえず行ってくるわ』と

 

聞けばウチから40キロ以上ある病院。あ、でも息子はロードバイクのレースに出ていて、いつも何十キロと走っているため、そんなにすごい距離ではないんです。

で、家に戻り、ジャージ(ロードバイク乗りが着るピッチピチの服)に着替え、出かけていきました。

 

もう17時半近く。私は携帯のGPSで息子の動きを時々チェックしながら

無事病院に到着したことを確認。

 

病院にはお母さん、学校の教頭や担任まで駆け付けていたそう。

結局その友達は骨折もしておらず、擦過傷と口を何針か縫って、歯が折れただけですんだそうです。とりあえず命に別状はなく、良かった良かった。

 

息子が戻るのが夜になったので、私が車で迎えに行きました。

車を走らせながら会話した母子の会話

 

『今日はなんか偶然にも、私たち二人とも友達の命のことについて考えちゃった日だったね』

 

『ほんとだね…』

 

もちろん状況は全く違いますが。でもやはり癌も交通事故も、命を大きく左右する事態。母子それぞれが、なぜか同じ日に“友達の命”を考えたこと。小さな偶然かもしれないけれど、ちょっと印象に残る一日でした。