授業時間の都合で解説が

できませんでしたので、

第10講と第7講の

確認テストの解答と

解説を以下に記して

おきます。

 

各自で確認と復習をして

おいて下さい。

 

【第10講確認テスト】

問題 裁判所に関する以下

の文で、正しいものに「〇」を、

間違っているものに「×」を

付けなさい。

 

(1)問題を起こした裁判官の

罷免については、憲法76条1項に

定められている司法権を有する

裁判所が判断する。(×)

←問題を起こした裁判官の

罷免については、憲法64条1項

により、国会に設置される弾劾

裁判所で判断されます(司法権の

憲法上の限界の1つ)。

(2)判例の立場によると、

国の機関の行為で高度に政治性のある

内容の事件であっても裁判所は

司法判断を行わなければならない

としている。(×)

←統治行為論という考え方により、

そのような内容の事件は司法判断しない

というのが判例の立場です。

(3)司法権の独立という言葉に

裁判官の独立の意味は含まれない。

(×)

←司法権の独立には、司法機関

(裁判所)の独立の意味だけでなく、

そこで実際に裁判を行う裁判官の

独立の意味も含まれています

(憲法76条3項参照)。

(4)ある事柄が憲法に適合するか

否かの違憲審査については、最高裁

判所のみでなく下級裁判所もそれを

行うことができる。(〇)

←違憲審査権の根拠条文である

憲法81条は、違憲審査について

「最高裁判所は、・・・終審

裁判所である」としていますから、

最高裁判所以前に裁判を行う

下級裁判所も同条により違憲審査

を行うことができます。

(5)日本の裁判所は、ある事柄に

ついて、具体的な争訟事件とは

関係なくてもそれが憲法に適合

するか否かの判断を行う。

(×)

←憲法裁判所がない日本では、

通常の司法裁判所が違憲審査を

行いますから、具体的争訟を

解決するのに必要な範囲でしか

違憲審査を行いません(付随的

違憲審査制)。

 

【第7講確認テスト】

問題 人身の自由に関する以下の文で、

正しいものに「〇」を、間違っている

ものに「×」を付けなさい。

 

(1)犯罪者を処罰するという正義を

実現するためには、法に基づいた

適正な内容や手続に従わなければならない。

(〇)

←憲法31条から導き出される「適正

手続の原則」の考え方です。

(2)無罪推定の原則も、憲法31条の

条文から導き出される。(〇)

←憲法31条によって、犯罪をした者に

刑罰を科すには必ず裁判を経なければ

なりませんから、その裁判で有罪が

確認されるまでは無罪の可能性がある

者として扱われなければなりません。

(3)犯罪行為をしたのではないかと

疑われている人物は、起訴される前の

捜査の段階では法律用語で「容疑者」

と呼ばれる。(×)

←捜査の段階で犯罪の疑いを

かけられている人物は法律用語で

「被疑者」といいます(容疑者は

マスコミ用語)。

(4)憲法が刑事手続上の諸権利を

保障しているのは、刑事手続では

犯罪について国家が国民を追及する

という構図になるからである。

(〇)

←国によって犯罪の疑いをかけられ、

刑事手続の対象とされて、国と対等に

戦える人などいません。そこで、憲法は

適正な刑事手続にするために、疑いを

かけられている被疑者・被告人に

さまざまな権利を与えることによって、

その力関係を対等にしようと

しているわけです。

(5)多くの真犯人を処罰するためには、

無実の者が誤って処罰されることが

あっても仕方ない。(×)

←無実の人が誤って犯人として

処罰されることは不正義であって

絶対に許されません。