私の手は、お世辞にも綺麗と言えない。

指の関節はシワシワだし、血管が浮いていて、お婆ちゃんの手の様だ。


指輪も、ネイルも映えない手。


よく手には年齢が出ると言うけれど、若い頃からお婆ちゃんの手だった。

理由は2つ。

一つは、小学生の時に、皮膚の病気に罹り、両手全体の皮膚がむけてしまった事。

もう一つは、兄の事故によって、両親とも病院に詰めていたので、家事全般をずっとやってきた事。

時には揚げ物で大火傷したり、グラスを洗っていたら割れてしまいざっくり切って、縫った事もある。


会社の上司や、知人達からも「貴方の手を見ていると可哀想になる」と何度も言われた。

私自身も、手はずっとコンプレックスだ。


こんな可哀想な手をただ1人褒めてくれた人がいる。


夫だ。生前、手のコンプレックスの話しをした時に、「頑張って家事をやったりしてきた証拠だよ。コンプレックスじゃないよ、誇りだよ。俺はRの手、好きだよ」


そう言ってくれた。

私の手を褒めてくれる人はもういない悲しい

夫の何気ない優しさをそこかしこに思い出してしまう。


可哀想な手と言われるけれど、この手で夫との結婚や幸せを掴んだんだ。

この手で、夫亡き後もがむしゃらに子育てしてきたんだ。


それでも、少しでも綺麗な手にしたくて、せっせとケアしている。