最初に「病院へ行こう」と提案してから半年後、ようやく母を病院に連れて行くことができた。半年間、激しく拒絶し続けていたのは、本人に自覚があり、ハッキリと診断されるのが怖かったせいだろうか。
高齢者向けの施設なども充実している病院を選んだ。7年前まで、私自身が心療内科でお世話になっていた病院である。設備が充実していること、常に最新の医療技術、概念などを扱っていることなどが決め手になった。いや、私の独断と偏見で選んだだけだがσ(^_^;)
A4用紙4枚分の問診表を書き、採血、MRIを撮って、看護師さんと1対1の会話検査をした。このとき
「ウメ、ネコ、クルマ、この3つの言葉を覚えてください」
とかやっていたらしい(私は部屋から出されてしまったので、検査の内容はわからない)
数分後、診察室に呼ばれた。
先生: さっき覚えた「3つの言葉」を教えてください
母 : ・・・・・3つの言葉?
先生: サクラ、ゾウ、ハサミ、みたいに言葉を3つ覚えてねって、やったよね?何だったかな?
母 : ああ、今先生が仰ったことですね
先生: (即座に)違うよ
母: ・・・・・いや、そうだったと思うけど
先生: 答えを言うと「ウメ、ネコ、クルマ」だったんじゃないかな?
母 : ・・・・・さあ
こんな感じで始まった。
母が聞きたがったので、先生がはっきり
「アルツハイマーです」
と仰った。母がこの病名を受け止められるかずっと不安だったが、どうも思ったより冷静に受け止めているように見える・・・これは先生の人徳と白衣パワーだ。
進行度合いは中程度。思ったより進行している・・・と思ったら、先生も
「データで見るよりは(本人は)しっかりしてるね。がんばってるね」
と仰っている。確かに、まだ車の運転してるし、スーパーから家に帰れないなんてこともないし、家計簿もつけてるし・・・
これは私の判断だが、この年代の女性の場合(70代後半)
料理をしなくなった
というのが、一番ソレと(アルツハイマーだと)分かり易い傾向だろう。料理って頭使うからね。
やってはイケナイこと
それは否定、訂正をしないことだそうだ。
間違ったことを言ってたら訂正をして、本人の記憶を呼び起こすことが記憶力の保持につながるんじゃないか、と思っていた。が、それは大きな間違いだという。「記憶を呼び起こす」前に、記憶そのものが「消えている」のだから、いくら優しい言い方であっても「否定」でしかない、という。
とりあえず本人の希望もあり、進行を抑える効果のあるクスリを服用することになった。
その後、ちょっと足を伸ばして大きなホームセンターへ花苗などを物色しに行った。真っ暗になるまで楽しんで、帰り道ではもう、病院へ行ったことを忘れていた。