息子は四歳になった。
祖母であるぼくの母と叔母である姉は、
シーズンごとのイベントで息子と交流しているが血の繋がった父であるぼくは、生後6ヶ月から会っていない。
写真や動画を見た時に、ひとは「よく似ている」と言ってくれる。
親バカではなくて、整った顔立ちで産まれてきてくれたと思う。彼女とぼくの、良いところが良い配合で混じり合って、奇跡が起きたんだと思っている。
なぜ会えないのか。
ぼくの浮気が原因だ。
双極性障害を持った6つ年上の女性とは入院した病院で出会った。
すごくオープンで、エロい女性だった。
病室のベッドで、生まれて初めて肛門を晒して、舐められた。
病棟でも目立っていたので、すぐに強制退院になった。
行くところのない女性はぼくの家に来て、彼女が話し合いに来た。
都合のいい事ばかり女性に話していたぼくは、修羅場と化していたその場で、土壇場の状況で、女性に別れを告げた。卑怯な男だ。
女性は、固まっているぼくを外に連れ出して泣きついた。当然だ。話が違う。
女性との生活を選んだぼくに、彼女は告げた。
一生子供には会わせない。
中途半端なことをしたぼくには当然の報いだ。
その後、女性とは数ヶ月程一緒に暮らしたが、最後はぼくのだらしなさにいやけをさしてあっさり去っていった。
残されたのは箸にも棒にも掛からないロクデナシの哀れな汚い一人の男だけだった。
後悔してもキリがない。
だらしなかったぼくが悪い。
そうして、我が子に会えない人生となった。
ぼくの姉は先天的な病気で子供が産めない。
母はどういう思いで孫に接しているのだろう。
10歳下の彼女は妊娠が分かった時、1人でも絶対に産む、とぼくの家族と自分の母に告げた。
籍も入れず認知もされていない、完全な私生児として我が子は産まれた。
ぼくの父は新生児を抱いて、泣いた。
今、彼女はぼくを救ってくれる唯一の運命の人なのだと思っている。
1人で夜、抜けてきた頭でこんなことを考えている。